開局65周年のめでたいムードはとっくに冷え込んでいるだろうか。
そしてこれにより、現在放送中のフジテレビのドラマすべての最新話で5%割れとなってしまった。無論、4大キー局においてこれは現状、フジテレビだけだ。
「そもそも今期のフジドラマは厳しく、カンテレ制作の月10ドラマ『転職の魔王様』と水曜ドラマの『ばらかもん』は第5話から4%台に突入。木曜劇場の『この素晴らしき世界』は初回5.4%から第2話で4.0%にまで落ち込み、第4話からはなんと3%台です。
とはいえ、今の時代、世帯視聴率だけで語れるものではないが……。
「配信で比較的好調な『真夏のシンデレラ』はコア視聴率(13歳~49歳までの男女の個人視聴率)は2%台後半で、世帯視聴率で考えればかなり高い水準。ここのところ世帯10%台で推移しているNHK大河ドラマ『どうする家康』のコア視聴率は2%程度ですからね。しかし、『真夏のシンデレラ』以外のフジのゴールデン・プライム帯連ドラは、配信もコア視聴率もかなり厳しい。
総個人視聴率(どのくらいの人がテレビ放送をリアルタイムで視聴していたのかという割合)がこの10年で6~7%落ちているとはいえ、この夏のフジテレビドラマの視聴率低迷は目をみはるものがある。
「視聴率はCMの売り上げに影響するため、今の時代でも局の“利益”と直接の相関関係にあると言われます。実際、2022年度の個人視聴率でフジテレビは全日・プライム帯ともに4大キー局で最下位でしたが、CM売上高も最下位という結果になっています。今年7月のフジテレビの新体制全体会議では、宮内正喜会長が『テレビ業界全体の広告収入が悪化し、とりわけフジは深刻で、緊急事態と言える状況』と指摘し、緊急対策を講じる必要があると危機感を露わにしました。フジは『silent』や『あなたがしてくれなくても』など配信で大ヒットを飛ばしていますが、見逃し配信のTVerは右肩上がりで成長しているものの、それでもまだまだ売上高としては低く、局にとっては収入の柱にはなりません。
夏ドラマの低迷で、宮内会長のいう“緊急事態”はますます緊迫感を帯びてきたかもしれない。フジテレビといえば、10月期からは金曜21時にドラマ枠がさらに増えるが……。
「フジだけでなく、各局が映画化などの展開を見据え、IP確保のためにドラマ枠をどんどん増やしている状況。しかし深夜帯ならまだ冒険はできますが、ゴールデン・プライム帯となるとなかなかそうはいかず、見慣れた面子がキャスティングされてしまいがち。今期も赤楚衛二や波留、坂口健太郎らが前クールからメインキャストで連続起用されていますが、今後さらにこういったケースが増えていくでしょう。
10月期のフジテレビドラマは、二宮和也、中谷美紀、大沢たかおのトリプル主演となる月9『ONE DAY~聖夜のから騒ぎ~』や、『silent』のプロデューサーと脚本家が再タッグを組む多部未華子ら主演の『いちばんすきな花』、人気マンガの実写化となる向井理主演の『パリピ孔明』、橋本環奈主演の『トクメイ!警視庁特別会計係』、そしてムロツヨシと平手友梨奈共演の『うちの弁護士は手がかかる(仮)』などが予定されている。秋ドラマで挽回となるだろうか。
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