「FAMILY CLUB Official Site」より/Hey! Say! JUMP

 Hey! Say! JUMPが、10月24日に初のデジタルEP「P.U!」をリリースする。これが「旧ジャニーズ楽曲のサブスク完全解禁」のきっかけになるのではと期待され、ファンが盛り上がっている。

歓迎一色かと思いきや、ファンからは「CDの売上が落ちる」「無課金オタと同じになるのが嫌」といった反対論もあり、賛否両論となっているようだ。

 EPはシングルよりも収録曲の多いミニアルバムのようなもので、メンバーの伊野尾慧が出演するドラマ『家政夫のミタゾノ』(テレビ朝日系)の主題歌「それぞれ。」などが収録される。今作について、薮宏太は「我々にとっても革新的」などとコメントし、デジタル配信への本格進出をうかがわせた。

 現在の音楽界はサブスクサービスが全盛となっているが、旧ジャニーズではや.ENDRECHERI.(堂本剛)などの一部例外はあるものの、大半のグループの楽曲はサブスクで聴くことができない。CDオンリーで勝負するグループがほとんどという独自路線を貫いており、ファンは推し活としてCDを複数枚購入することが珍しくなく、それがオリコンなどの売上ランキングでの旧ジャニーズの圧倒的な強さにつながっていた。

 そんな旧ジャニーズに変化の兆しが見えたのが、昨年10月のTravis Japanの世界同時配信デビューだった。

デビュー曲が「配信限定」というのは旧ジャニーズとしては革命的で、同グループは海外レーベルと契約していることもあってか、スムーズにサブスク解禁が実現した。さらに、今年7月には木村拓哉がSpotify限定ながらソロアルバム2作の配信を開始。そうした流れの中で、Hey! Say! JUMPが初のデジタルEPのリリースを発表したことで「サブスク全面解禁」の気配を感じ取った人が多いようだ。

 旧ジャニーズ事務所は、近いうちに新たなエージェント会社を設立し、タレントと個別に契約する新体制へ移行すると発表している。それを機会に、サブスク解禁へ舵を切る可能性は十分にありそうだ。

 これに対して、ネット上のサブスク賛成派からは「CDだとパソコンに取り込んで歌詞入力して……とか色々しないとスマホで聴けないのが大変だからサブスク解禁したらうれしい」「サブスク解禁されるとめっちゃ布教しやすくなるし、今まで聴いてなかった人たちがファンになってくれそう」「K-POPみたいに海外進出を目指すならサブスク解禁はマスト」といった声が上がっている。

 その一方で「強火オタはサブスク解禁してもCD買うだろうけど、サブスクは還元率が低いからライト層の売上がごっそりなくなりそう」「ジャニ系グループが採算度外視した豪華演出のライブができるのはCD売上とかのおかげなんだよ。サブスクのせいで売上が落ちるのは困る」「CD買うオタクとサブスクで聴く無課金オタクが同じ立場になるのは普通に嫌」「サブスクでファン層が広がったらライブチケット争奪戦が今よりもっと激化してしまう」といった反対の声も相次いでいる

 賛成派は「利便性」「ファン層の拡大」といった理由でサブスク解禁を支持するファンが多く、反対派は「売上の減少」「課金が無駄になる」といったことを危惧する人が目立つようだ。

 サブスク解禁の是非は別にしても、CDの時代は着実に終わりへと近づいている。全国でCDショップの閉店が相次ぎ、今年1月にはタワーレコード秋葉原店が営業終了し、約17年の歴史に幕を閉じた。さらに、TSUTAYAの旗艦店である渋谷の「SHIBUYA TSUTAYA」は今月末からの全フロア改装工事(来春リニューアルオープン予定)に向け、10月16日を最後にCDレンタルサービスを終了。サブスク未解禁の貴重なCDについては、ネット宅配レンタルサービス「TSUTAYA DISCAS」でレンタル可能になる予定としており、リニューアル後の店舗ではCDレンタルコーナーが消滅する。

  こうした時代の流れに合わせて旧ジャニーズもサブスク完全解禁に乗り出すのか、それとも以前と変わらぬ独自路線を突き進んでいくのだろうか。もし旧ジャニーズまでサブスク解禁となれば、いよいよCDは「過去の遺物」となりそうだ。