約38年にわたって放送されてきた長寿クイズ番組『日立 世界ふしぎ発見!』(TBS系)のレギュラー放送が3月いっぱいで終了する。その後継番組として、ハライチ・澤部佑がMCを務めるマネー系クイズ番組が内定したと報じられ、視聴者から落胆の声が続出しているようだ。
『世界ふしぎ発見!』は海外ロケを主体とし、ミステリーハンターと呼ばれる取材者が世界各国をめぐり、各地の文化遺産や自然、カルチャー、歴史を掘り下げ、それにまつわる疑問や謎をクイズとして出題する教養バラエティ。司会の草野仁の軽妙な進行やレギュラー解答者の黒柳徹子、野々村真らのやり取り、番組独自の「ヒトシ君人形」「ボッシュート」といったルールで人気を集めた。
日立グループの一社提供で、番組内で流れる「この木なんの木」のCMは“土曜日の終わりを告げる歌”としても視聴者に親しまれていた。
だが、コロナ禍で海外ロケが難しくなったことで視聴者が離れ、コロナ収束後は高い制作費がネックに。昨年からはフリーアナの石井亮次を新MCに迎えるなど大幅リニューアルを敢行したが、昨年10月に今春でのレギュラー放送終了が発表された。以降は不定期の特番として放送するという。
名物番組の後を継ぐのはどんな番組になるのか気になるところだが、これについて9日付の東京スポーツが「澤部佑がMCを務める“マネークイズ”番組が内定している」と報道。昨年12月に澤部の司会でゴールデンタイムに放送された単発特番『いくらかわかる金(かね)?』をレギュラー化させるのだという。
各局で引っ張りだこの司会巧者である澤部の番組であれば期待できそうだが、ネット上では意外にも不評。澤部に原因があるというより、番組の内容が「ショボくなりそう」と危惧されているのだ。
『世界ふしぎ発見!』は先述したように海外ロケを中心にした内容で、十分なリサーチや専門家による考証などによって、ハイクオリティな教養番組となっていた。古くはフジテレビ系『なるほど!ザ・ワールド』、TBS系『世界ウルルン滞在記』、近年では日本テレビ系『世界の果てまでイッテQ!』や同局系『アナザースカイ』など、海外ロケメインの番組は視聴者からの評価が高い。
後継番組に内定したといわれる『いくらかわかる金(かね)?』の特番時の企画内容を見てみると、「スタッフがコストコに張り込んで一番購入金額が高かった人がいくら使ったのかを調査」「巨漢タレントや現役プロ野球選手らが『くら寿司』で満腹になるまで食べたらいくらかかるか」「広瀬アリス、伊沢拓司、春日俊彰がクレーンゲームで誰が1番お金をかけずに景品ゲットできるかに挑戦」「演歌歌手の大江裕が路上ライブをしたらいくら稼げるか」といった、ゴールデン特番とは思えないほどお金がかかってなさそうなものばかり。
このレベルでは、視聴者が「期待できない」と不安になるのも仕方ない。『世界ふしぎ発見!』の豪華さと比べられてしまうとなおさらだ。実際、SNS上では「時代の流れとはいえ、テレビ番組がどんどん安くなっていくな」「ふしぎ発見みたいなスケールの大きい番組がなくなっていくのが寂しい」といった声が漏れ聞こえている。
業界内では「長寿番組の後番組は短命になりやすい」というジンクスもあるが、どのような編成になるのか注目だ。