田辺エージェンシー 公式サイトより

 人気司会者・タモリや女優・永作博美らが所属する大手芸能事務所・田辺エージェンシーの社長として知られる田邊昭知氏が、2月20日付で会長へ転身したことが「週刊新潮」(新潮社)で報じられた。

 同誌の記事によると、田邊氏はこのたび代表権はそのままながら同社の会長に転身し、後継者となる社長には同社のグループ企業で、前田亘輝がボーカルを務めるTUBEなどが所属する「ぐあんばーる」の社長を兼務する菅原潤一氏を指名。

 この動きを見て、芸能関係者の間では、「さすがのドンも終活か」という臆測が飛び交っているという。また、記事では田邊氏や菅原氏のコメントも掲載している。

 田邊氏といえば、GSブームを牽引した人気グループ・サウンズバンド、ザ・スパイダースのリーダー兼ドラマーとして活躍。

 その後、芸能事務所「スパイダクション(※後の田辺エージェンシー)」を立ち上げて、70年にマネージメントに専念するため第一線から引退すると、タモリや研ナオコ、永作博美、堺雅人ら人気タレントを発掘、育成するなど裏方としても実力を発揮してきた。

 近年ではその影響力の大きさから“芸能界のドン”としても知られており、有吉弘行夏目三久の熱愛報道やSMAPの解散騒動の際にも水面下での関与が取りざたされた。

「芸能界のドン」といえば古くは“ナベプロ帝国”を築いた故渡辺晋氏や“演歌界のドン”と言われた故長良じゅん氏、大手芸能事務所・ホリプロ創業者の堀威夫氏などが有名だ。

近年でいえば、田邊氏とバーニングプロダクションの周防郁雄社長の存在が広く知られており、田邊氏に関しては中曽根康弘元首相、渡辺氏、堀氏に続いて芸能界最大の業界団体である「日本音楽事業者協会(音事協)」の会長職も務めている。中堅芸能事務所のベテランマネジャーはこう語る。

「田邊さんしかり、渡辺さんしかり、堀さんしかり、彼らはみなバンドマンから裏方に転身したいわゆるミュージシャン出身です。それに対して周防さんはマネジャー、長良さんは興行師と元々が裏方出身となります。元バンマス出身の田邊さんは良くも悪くも直情型で面倒見の良い親分肌の人。その一方、生粋の裏方出身である周防さんは普段あまり感情を表に出さず“ドン”とは思えないほど腰も低い反面、そのぶん何を考えているかわからない怖さがある。

まさに権謀術数に長けたタイプと言えるんじゃないですかね」

 一時期は田邊氏と周防氏の対立が取り沙汰されたこともあったが……。

「業界のドン同士ですから利権がぶつかることもあるでしょうし、先に触れたように性格や生きてきた土壌が違いますからね。意見が対立することもあるでしょうけど、お互いの存在は認め合っていますし、表向き周防さんは業界の先輩である田邊さんのことは立てていますから。“小競り合い”こそあれ、本気で潰し合うようなバトルは起こらないでしょう」(同)

 そうした中、今回“ドン”の一人である田邊氏の“終活”報道があったわけだが、前出の中堅芸能事務所のベテランマネジャーの見方は極めて懐疑的だ。

「田辺エージェンシーの社長職を後進に譲ったとはいえ、いまだに変わることなく傘下や懇意の芸能事務所の役員には入っていますからね。芸能事務所やその関連企業に限らず、テレビの民放キー局をはじめメディアへの影響力もいまだ健在ですし、“終活”に入ったといった気配は感じられませんけどね」

 同誌の取材に対し、田邊氏は「(終活なのかは)あなた方が勝手に思っている話でしょう。

社長が新しくなれば、それなりのことができる。日にちはかかるかもしれないけど、まぁ、見ていて下さいよ」と語っているが、“ドン”の今後の動向を注視したい。