立浪和義(写真/Getty Imagesより)

 中日は3月24日、ロッテとのオープン戦最終戦で逆転サヨナラ勝利。2003年以来、実に21年ぶりにプレシーズンで優勝した。

 就任3年目の立浪和義監督は「勝つことを覚えないとね。結果が出たことは自信にしてもらいたい」と終始ご機嫌だった。

 球団OBは「投手陣は前から選手が豊富にいて、今年もシーズンそこそこまで投げてくれそうな布陣が揃っている。開幕の柳裕也を皮切りに涌井秀章、メヒア、小笠原慎之介、大野雄大など、右左ともに先発投手が揃っている。中継ぎ陣も7回以降の勝ちパターンは勝野昌慶、清水達也、ライデル・マルティネスと方程式も確立されている。ただ、勝ち試合、負け試合、同点場面、どこでも投げられる“便利屋”の藤嶋健人がケガで離脱したのは懸念材料だろう。

ともあれ、得点を挙げられれば何とかなる算段がついたので、立浪監督も今シーズンは自信を持って挑むことでしょう」と解説する。

 ところが問題は野手で、最後の最後まで二遊間の布陣が決まらなかった。

「結局、田中幹也、育成契約だったクリスチャン・ロドリゲスを支配下登録して、開幕戦はこの2人に任せることに決めた。ただ、どちらも守備力は高いのだが、バッティングは今ひとつ。出塁できなければ必然的に中田翔への負担は大きくなるのではないか。また昨年のU-23キューバ代表で将来嘱望されているロドリゲスは、毎年、キューバ政府と契約交渉しなければならず、せっかく育て上げても政府の都合で契約が見送られたり、シーズン後に逃亡する恐れもある。

短期的にはいいかもしれないが、中長期的に考えればチームにとってはマイナス要員と見る向きも多い」

 また、2軍で“干しまくっていた”三塁手・高橋周平の処遇にも注目が集まる。

「高橋周は2月のキャンプをずっと2軍で暮らし、3月中旬から1軍戦に出場するようになった。オープン戦9試合で打率・391と驚異的な成績を残し、有無を言わせずに開幕スタメン確約を立浪監督に迫っています。元々、高橋周に低い評価を下していた立浪監督は、石川昂弥を開幕三塁スタメンで考えていたが、大不振に陥ったまま上がってこない。チーム内では『いつまで好き嫌い采配するのか』と立浪采配に懐疑的な目をする関係者もかなり多い。単純明快に調子がいい選手から使っていくと方針を決めれば誰もが納得できるのですが、いつまでも意地を張っていたらシーズン途中に順位が悪くなっても立て直しを図れないだろう。

昨シーズン、球団初の2年連続最下位となったが、仮にチームが低迷を続けると中日ファンや球団首脳が恐れる“途中休養”も現実味を帯びてきます」

 24日にはようやく高橋周のスタメン起用を発表したが……。不名誉な球団史上を作ってしまうも、地元での“お殿様”扱いは変わらず。オープン戦優勝で浮かれていては、すぐさま足元をすくわれ、今度こそ立場が危うくなる。