竹内涼真(写真/Getty Imagesより)

 4月25日、木曜ドラマ『Believe-君にかける橋-』(テレビ朝日系)の第1話が放送された。平成のドラマシーンをけん引した俳優・木村拓哉が主演とあり、制作決定時から注目が集まっていた本作品。

橋という巨大建造物だけでなく、事件の裏にある“陰謀”のスケール感に圧倒させられる内容だった。

 テレビ朝日開局65周年記念ドラマと銘打たれた『Believe-君にかける橋-』。主演に木村拓哉を起用していることから制作側の力の入れようがわかる。タイトル然り、木村演じる大手ゼネコン『帝和建設』の土木設計部部長・狩山が橋づくりに情熱を燃やす“熱き中高年”という設定から、『下町ロケット』(TBS系)のような社会派ヒューマンドラマを想像していた。しかし、事前に公開されたティザーPR動画では、狩山が刑務所の面会室らしき部屋にたたずみ、何かしらの事件に巻き込まれているシーンが映し出される。これまで木村が演じてきた役柄とかけ離れた“負の空気”がただよっていただけに、筆者はどのようなストーリーになるかいち視聴者として気をもんでいた。

 待ちに待った第1話の放送内容は、想像以上のスケールだった。狩山ら帝和建設の作業員と坂東(北大路欣也)率いる坂東組の面々が一丸となり、東京都にとって一大プロジェクトである龍神大橋の工事に邁進していくエネルギッシュな展開になると思いきや、建設現場で突如発生する爆発と崩落。凶器と化したワイヤーが飛び交う緊急事態のなか、作業員たちが死にもの狂いで逃げようとする光景はリアリティに満ちあふれ、今後狩山を待ち受ける壮絶な苦難を象徴するシーンとなった。

 事故の原因として、ひとつの仮説が打ち出された。竹内涼真が演じる建設作業員・若松は、狩山に対して亡くなる直前に「すみません……」と最後につぶやいた。安価な海外製建材を狩山に黙って仕入れ、耐久性が足りず事故を引き起こしてしまったことへの償いに聞こえる。

ただ、人のよさそうな振る舞いを見せていた若松である。独断でそこまでの大罪を犯そうとするだろうか。誰かにそそのかされない限り……。

 つまり、この事故は“黒幕である誰か”により引き起こされたのではないか。この真相究明が本作品の軸になっていく。可能性として考えられるのは、狩山への怨恨の線だ。

帝和建設で働く人間だけなく、狩山の妻・玲子(天海祐希)が勤務する聖修大学病院の関係者まで、登場人物の属性は多岐にわたる。この中に、狩山と玲子に恨みを持っている人物がいるかもしれない。

 もうひとつ、企業を超えた巨大組織の陰謀に巻き込まれた可能性もある。龍神大橋は東京都をあげての一大プロジェクト。その指揮をとる東京都知事・榛名(賀来千香子)の失脚を狙う人間により事故は引き起こされ、狩山が巻き込まれたかたちも想像できる。また、帝和建設の代表取締役社長・磯田(小日向文世)が省庁出身ということも判明し、龍神大橋建設の背景には国家レベルの思惑が絡んでいるのかもしれない。

 天下のキムタク演じる主人公が“刑務所に収容”というショッキングなストーリーで始まったが、同レベルの衝撃的な展開は幾度となく起きそうだ。上川隆也、小日向文世、そして北大路欣也と、木村拓哉と“演技のタイマン”をはれるだけの名俳優が控えているからだ。なかでも小日向演じる帝和建設の代表取締役社長・磯田は仏のような柔和な人柄だけに、狩山を陥れた“裏切り者”であれば衝撃度は抜群だろう。そして、若松と瓜二つの刑事・黒木(竹内涼真)の動向も気になる。刑事らしからぬアナーキーなキャラクターで、若松と関係があるはずだ。狩山にとって敵か味方か……。

 狩山の冤罪主張を封じるかのように、帝和建設で箝口(かんこう)令が敷かれたところで第1話は終わった。それで狩山が諦めるはずがない。ドラマの公式情報では『毎話繰り広げられる急展開』という文言があり、八方ふさがりを打開する展開があるかもしれない。刑務所から狩山が“脱獄”するのは可能性薄だが、第2話では橋崩落に並ぶような超ド級のどんでん返しを期待したい。

■番組情報
テレビ朝日開局65周年記念 木曜ドラマ『Believe-君にかける橋-』
テレビ朝日系毎週木曜21時~

出演:木村拓哉、天海祐希、竹内涼真、斎藤工、山本舞香、一ノ瀬颯、上川隆也、小日向文世、北大路欣也 ほか

主題歌:MAN WITH A MISSION『I’ll be there』(Sony Music Labels Inc.)
脚本:井上由美子
音楽:林ゆうき
エグゼクティブプロデューサー:三輪祐見子
プロデューサー:都築歩、高木萌実、松野千鶴子
監督:常廣丈太、樹下直美
制作協力:アズバーズ
制作著作:テレビ朝日
公式サイト: https://www.tv-asahi.co.jp/believe/