長谷川博己(写真/Getty Imagesより)

 バッドエンドを予感させるエンディングになった――。

 6月9日、日曜劇場『アンチヒーロー』(TBS系)の第9話が放送された。

最終話直前の重要回とあり、冤罪証明につながる前向きなストーリー展開を期待していた視聴者も多いはずだ。しかし、エンディングで待っていたのは仲間の裏切りと、主人公・明墨(長谷川博己)の逮捕だった。

 本作品は、「依頼人を無罪にする」を信条とするアナーキーな弁護士・明墨が、12年前の糸井一家殺人事件で死刑判決を受けた志水(緒形直人)の無実を証明するために暗躍する物語だ。志水に偽りの自白を強要したのは当時検事だった明墨。明墨は病に屈した同期の検事・桃瀬(吹石一恵)の遺志を受け継ぎ、志水と娘・紗耶(近藤華)から幸せを奪ってしまった罪と向き合い、さまざまな裁判で布石を打ちながら志水の再審を目指してきた。

 足掛け5年、明墨たちは志水のアリバイを証明する動画にたどり着くが、目前のところで志水を有罪にした張本人の検事正・伊達原(野村萬斎)にデータを破棄されてしまう。

頼みの綱である動画を失った明墨に、志水の無実を証明する一手はあるのだろうか。

 志水と紗耶に無罪の希望をもたせたのも束の間、チャンスを踏みつぶされた明墨は静かに焦る。「わずかな手がかりでもいい」。明墨たちが情報集めに奔走するなか、赤峰(北村匠海)は桃瀬の母から彼女の日記を譲り受け、続いて志水との面会では取り調べ内容を記録した日記を授けられる。ここまで信頼されるとは、数々の裁判を経て成長してきた赤峰の豊かな人間性を象徴するシーンだった。

 いずれの日記にも明墨をはじめとした検察の冷徹さが記されていた。

目をそむけたくなる内容だったが、それを熟読した先に新たな希望が見つかった。調書では、糸井一家の殺害には志水が入手可能なタリウムが使用されたと記されている。しかし、志水の日記によると取調官は取り調べ中に、タリウムとは異なる毒物摂取による症状を口にしていた。明墨はこの新事実をもとに、志水を有罪にする決定打を探していた伊達原が、科捜研に「タリウムが検出された」と虚偽の報告をするよう指示したと推測。あとは、不正に関わっていた科捜研の関係者を見つけられれば……。志水の無実証明に大きく前進した、はずだった。

 第9回エンディングでは、チーム明墨が勢いを取り戻した直後、明墨は緋山(岩田剛典)が関わる殺人事件の証拠隠匿罪で逮捕されてしまう。明墨たちが隠し持っていた緋山の証拠を、パラリーガル・白木(大島優子)が伊達原に“献上”したからだ。チーム明墨の“元気印”によるまさかの裏切りに絶句。ただ、筆者はこれも明墨の策略だと見ている。

 明墨は自身が裁かれる証拠隠匿罪の裁判に、伊達原を担当検事としておびき寄せようとしていたのではないだろうか。さまざまな事件で無実を証明し、世間から知られる存在となった明墨が裁かれるとなれば、トップニュースになることは間違いない。

多くの人が動向を見守る場で、明墨は自身の証拠隠匿を認めるとともに、伊達原の証拠隠匿を糾弾しそうだ。志水を死刑囚にしてしまった者同士、一緒に地獄へと堕ちていく覚悟なのだろう。

 明墨が連行される直前に紫ノ宮(堀田真由)、赤峰に言った「あとは任せる」という言葉。これは明墨が伊達原の不正を暴いた後、志水の再審を「2人に任せる」という意味だと筆者は受け取った。明墨の清濁併せのむ弁護スタイルを叩きこまれた2人の若手弁護士は、クールな若者から一転、正義に燃える熱い弁護士へと成長した。最終話では明墨と伊達原の対決、志水の再審の行方とともに、司法の未来を担う若者たちの行く末にも注目したい。

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日刊サイゾー2024.04.28

■番組情報

日曜劇場『アンチヒーロー』

TBS系毎週日曜21時~
出演:長谷川博己、北村匠海、堀田真由、大島優子、木村佳乃、野村萬斎 ほか
プロデューサー:飯田和孝、大形美佑葵
演出:田中健太、宮崎陽平、嶋田広野
脚本:山本奈奈、李正美、宮本勇人、福田哲平
音楽:梶浦由記、寺田志保
主題歌:milet「hanataba」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
法律監修:國松崇
警察監修:大澤良州
製作著作:TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/antihero_tbs/