テレビ東京

 テレビ東京が自社の不祥事を看板ニュース番組で詳細に報道したとして、ネット上で「さすが俺たちのテレ東」「他局も見習え」などと話題になっている。新たな「テレ東伝説」となりそうだが、その一方で「他局もBPO案件は当たり前に報道している」「ネット民はテレ東に甘すぎ」といった指摘もあり、物議を醸しているようだ。

 話題となったのは、同局の看板番組『WBS(ワールドビジネスサテライト)』の19日の放送。同局で昨年3月に放送された『激録・警察密着24時!!』がBPO放送人権委員会の審理入りしたことを報じ、テレビ東京からの「行き過ぎた演出や不正確な表現があった。BPOで審理入りが決定したことを重く受け止め、審理には誠実かつ真摯に対応してまいります」というコメントを伝えた。

 問題となった『激録・警察密着24時!!』の放送では、人気アニメ『鬼滅の刃』のキャラクターを連想させる柄や文字の入った商品を販売したとする会社役員ら4人が不正競争防止法違反の疑いで逮捕された事件を取り上げたが、そのうち3人は不起訴となっていたものの、番組内でそれに言及しなかった。

 さらに「逆ギレ」「今度は泣き落とし」といったナレーションや「“ニセ鬼滅”組織を一網打尽」というようなテロップなど過剰な演出があり、同局は事実誤認や行き過ぎた演出があったとして謝罪。番組担当者及び監督責任者の計2名に対して減給等の社内処分を下した上で、番組の打ち切りを決定した。

 これで事態は収まらず、BPO放送人権委員会は19日、関係者からの人権侵害を訴える申立てを受けて審理入りが決定したと発表。これを同局は先述の『WBS』に加え、朝の報道番組『Newsモーニングサテライト』でも報じた。

 この話題がネットで拡散されると、SNS上では「さすが俺たちのテレ東」「自社の不祥事をスルーする他局とは大違い」「当たり前のことなんだけど、その当たり前のことができない局が多い」「不祥事にだんまりの日本テレビフジテレビはテレ東を見習うべき」などと、テレ東を称賛する声が続出した。

 しかし、その一方で「他局もBPO案件レベルは自社の不祥事だろうと報道してるよ」「他局もふつうにやってることなのにテレ東に甘すぎ」「問題になった番組の演出かなりヤバいし、報道しただけでべた褒めするのはどうなの」といった意見も。新たな「テレ東伝説」に疑問を感じた人も少なくないようだ。

 ただ、業界内では「テレ東がコンプライアンスや企業モラルを強化しているのは事実」との指摘がある。

その一例といえるのが、旧ジャニーズへの対応だ。

 性加害問題を受けて、NHKは旧ジャニーズおよび後継会社「STARTO ENTERTAINMENT」の所属タレントに対して「被害者への補償や再発防止の取り組みが着実に実施されていることが確認されるまで新規起用を見送る」との方針を続けているが、日本テレビ、フジテレビ、TBSテレビ朝日の在京民放4局は以前とほとんど変わらずに各番組で旧ジャニーズ勢を起用している。

 テレビ東京は民放キー局で唯一、NHKと同様に「旧ジャニーズ勢の新規起用の見送り」を表明しており、同局の石川一郎社長は「補償が進んだら(起用見送りを)解除します、という話ではない」とNHK以上に厳しい態度を見せている。

 先述のBPO入りの問題についても、単に番組を打ち切りにするだけではなく、石川社長は「警察密着番組を今後制作しない」とまで言い切った。寄付金の着服問題が起きながら、今年も当たり前のように『24時間テレビ』を放送する日本テレビなどと比べると、対応の差があるように思えなくもない。

 「テレ東しか自社の不祥事を報道していない」というのは語弊がありそうだが、同局が企業モラルの厳格化を進めているのは間違いないようで、そういう意味でも民放の中で異彩を放つ存在となりそうだ。