北野武(写真/Getty Imagesより)

 米Amazonの映画・テレビ制作部門であるAmazon MGMスタジオが19日、北野武が監督・脚本・主演を務める長編映画の製作を発表した。

 北野監督は1989年に『その男、凶暴につき』で映画監督デビュー。

以来、『ソナチネ』(93年)、『キッズ・リターン』(96年)、『アウトレイジ』シリーズ(2010~17年)など、これまで計19本の長編映画を手がけていることで広く知られている。1997年には『HANA-BI』が『第54回ベネチア国際映画祭』で日本作品としては40年ぶりとなる金獅子賞(同映画祭の最高賞)を受賞。世界的な映画祭で賞を獲得した、数少ない日本人映画監督の一人として国際的な評価を確立しており、昨年公開された『首』は『第76回カンヌ国際映画祭』にてワールドプレミアを開催した。

 北野監督は、「映画を撮り始めて数十年が経ちましたが、各国で映画製作をしているAmazon MGMスタジオとタッグを組むのは自分自身にとっても新たな挑戦でわくわくしています。現在鋭意制作中なので、続報にご期待ください」とコメントを発表。現段階で作品の詳細については明かさなかった。

「製作するAmazon MGMスタジオは、『第96回アカデミー賞』で脚色賞を獲得した映画『アメリカン・フィクション』など、国際的なコンテンツを世界に向けて展開中。当然だが、日本国内の大手映画配給会社とは資金力が違い過ぎる。そんな同スタジオが、世界的に作品が評価される北野監督に白羽の矢を立てるのも当然のことだろう。脚本を手掛け、キャスティングも北野監督が決めることになるだろうが、製作費を気にすることなく好きなように撮れることで、北野監督も力が入ることだろう」(映画担当記者)

 前作は北野監督の6年ぶりの監督作で、戦国時代を舞台にした自身の小説を映画化した『首』。製作費は邦画では巨額の15億円だったが、11月23日に公開され興行収入は11.6億円(24年1月発表時点)と振るわなかった。

「もともと、松竹が企画していたが、再婚した北野監督の妻が介入し過ぎて話が流れ、KADOKAWAに持ち込み製作・配給が決定したという。

ところが、完成後、北野監督のギャラや編集など、またまた妻が介入して大もめに。一部報道によると、KADOKAWAに12億円のギャラを要求したと言われているが、さすがに、そこまでは支払えないだろう。すったもんんだの挙げ句、公開に至ったが、クビをはねるシーンが多すぎてどん引きした観客が多かったようで、映画専門サイトでも評価はイマイチだった」(映画業界関係者)

 当面、金銭的なことを鑑みるに、国内ではもはや北野監督の作品を抱え込むことができないと見られているが、北野監督に長年寄り添った“相棒”の不在が作品のクオリティーをダウンさせてしまったことも要因ではあるようだ。

「17年公開の『アウトレイジ 最終章』までは、元オフィス北野社長だった森昌行氏が製作に名を連ね、北野監督と二人三脚で作品を練り上げていた。しかし、2018年のオフィス北野“お家騒動”で北野監督が独立。その際、森氏とも袂を分かち、『首』は北野監督がかなり自由に製作することができただろうが、『もし森さんが入っていたら、数字はまたちがったものになっていただろう』という声が多い」(同)

 海外資本でどんなスケールの大きな名作を世に送り出すのかが注目されるが、森氏のような北野監督の“ブレーキ役”との出会いがあるかも今後の作品のデキを左右しそうだ。