「Seventeen」(集英社)6月号は、「JK的ビューティー元年とーらい!!」と銘打って、メイクやヘアアレンジが特集されています。ちなみに5月号は「進学KAWAII元年楽しすぎ!」というテーマだったので、2019年の「Seventeen」(以下ST)には、さまざまな“元年”が訪れているようです。

6月号の表紙を飾るのは、お茶の間でもすっかりおなじみになった、女優・永野芽郁。今月号でST専属モデルを卒業とのことで、巻頭で大々的な特集が組まれています。朝ドラ女優の爽やかさが目にまぶしすぎますが、早速中身見ていきましょう!

<トピックス>
◎みんな、ありがとう(ハート)大好き(ハート)永野芽郁卒業します!
◎全身\4,999以下で願望実現着まわし14DAYS
◎恋のきっかけにも追い込みにも使える(ハート)インスタストーリーのモテクがヤバい!!

読者を無視! “女優”永野芽郁の金銭感覚

 巻頭特集は「みんな、ありがとう(ハート)大好き(ハート)永野芽郁卒業します」と銘打って、3年間STモデル務めた永野の新しい門出を14ページにわたり祝福しています。ST出身のモデルといえば、現在放送中のNHK朝ドラ『なつぞら』で主演を務める広瀬すずや、その姉の広瀬アリス、演技が酷評されるものの“抜群のかわいさ”で乗り切る本田翼、ほかにもDAIGOを使いこなす北川景子木村カエラ鈴木えみ榮倉奈々など、そうそうたるメンバーがいます。朝ドラ『半分、青い。

』で主演を張るなど、すでに女優として知名度が高い永野がOGの仲間入りするわけですから、STモデルの層の厚さを感じざるを得ません。

 冒頭の4ページでは、永野が読者からの質問に回答。しかし、その内容は、日課やハマっていることなど、オーソドックスなものばかりで、「卒業」という企画の割に、薄~い内容です。そんな中、「心の支えは?」という読者からの問いに、「自分」と答える永野。その理由は「心を成立させているのは自分で、その『自分』を支えてくれるのがまわりの人」とのこと。さすが朝ドラ女優! 強い! と“一瞬”思いましたが、結局のところ「心の支え」=「まわりの人」と解釈できるのでは?

 また、「買い物に行く場所は?」という質問に「伊勢丹新宿と六本木エストネーション」と答えています。
先日、ウェブサイト「FRIDAYデジタル」でも、エストネーションで買い物する姿をスクープされていましたが、読者層である女子高生たちを完全に無視して、「ニュー・ラグジュアリーストア」と呼ばれる同所を回答するとは、さすが“売れっ子女優”といったところでしょうか。紹介される永野の私服は、Maison Margielaのデニムに、Acne Studiosのトップス、Theoryのベストなど、10代に手が届きそうにない高価な商品ばかり……。国民的女優が私服に何を着ようとかまいませんが、もう少しST読者も参考にできるコーディネートを選べばいいのに……と思ってしまいました。高級なお召し物ばかりをアピールされたら、GUなどの低価格帯でおしゃれな着まわし企画を組んでいる編集部が泣いちゃいますよ!



 先ほどの永野の高額な私服とは打って変わって「全身\4,999以下で願望実現着まわし14DAYS」という良心的な企画を見ていきましょう。日向坂46・小坂菜緒が、男子ウケを狙ったコーディネートを披露します。小坂は「女友達はいるけど、彼氏がいつまでたってもできない……モテたいよーっ」とファッションで男子ウケを目指すのですが、坂道グループでセンターを務める小坂が言っても説得力がなさすぎます……。
 

 そんなアイドル界でもトップの人気を誇る小坂が、「かわいいけど男っぽいのが残念」と、陰で男子に言われるところからストーリーは始まります。その言葉にショックを受けた小坂は、コーディネートにパステルカラーを取り入れ、美容室では「男子にモテそうな感じで!」とヘアオーダー。最終的に「かわいくなった小坂から目が離せなくて」と告白されるのですが、ファッションとヘアスタイルを変えるだけで、恋愛がうまくという非現実な展開に、ただただ彼女のポテンシャルの高さを見せつけられる企画でした。

インスタで「におわせ系」の投稿を推奨

「恋のきっかけにも追い込みにも使える(ハート)インスタストーリーのモテクがヤバい!!」では、インスタグラムの機能「ストーリー」を使ったモテを指南します。「ストーリー」とは投稿した写真や動画は、通常の投稿とは異なり24時間後に自動的に削除されるシステムなのですが、このページで披露されるストーリーの“モテク”は、あらゆる“あざとさ”を凝縮したテクニックばかりで、少々恐ろしくなります。

 まず紹介されるテクニックは「におわせ系でモテ!」というもので、「彼におごってもらったモノをUP」することを推奨しています。

写真の例として、男性の手をあえて映りこませた2杯のタピオカの写真を掲載していますが、このような投稿は、「女子ウケは微妙」としながら、「こんなに喜んでくれるんだ!」と、おごった側の男性を喜ばせる効果があるとのこと。高校生で、この“モテク”をマスターするなんて、今後の女性の化け具合が末恐ろしいです……。数年後にはタピオカから高級レストランにレベルアップ! なんて日もそう遠くはないかもしれません。ほかにも「彼に寄せてく系でモテ!」というテクニックでは、「彼の地元のお店」の写真を位置情報付きで投稿するという、一歩間違えたらストーカーのような行動を取り、彼からの連絡を待つというものでした。先月号までは、女友達に嫌われることを極端に恐れ、「におわせ系」を完全NG行動としていた「ST」ですが、一体どんな心変わりがあったのでしょうか。結局のところ、男子ウケと女子ウケの両立は難しいと、匙を投げつけられたような気持ちに。


 「ST」は、読者のファッションや学校生活の悩みに優しくより沿ってくれる雑誌だと思っていましたが、高校生の1カ月のアルバイト代が一瞬で吹っ飛ぶ価格の洋服を紹介したり、日本を代表するアイドルグループが「非モテ」キャラを演じ、「男ウケ」の行動を指南するなど、浮世離れした世界が広がっていました。先月までは“全人類モテ”という目標を掲げ、友達に気を使いまくっていた優等生ST読者が、6月号に掲載されているような「男目線」を意識した行動に切り替えられるか心配です。
(藤本なつき)