雨上がり決死隊の宮迫博之や、ロンドンブーツ1号2号の田村亮ら芸人による、反社会勢力への「闇営業」問題。これを受け、7月19日に吉本興業から契約解消された宮迫と謹慎中の亮が、会社を通さずに“手作り”の謝罪会見を行ったことにより、事態は大きく急変した。



 当初、世間からの風当たりが強かった二人だが、会見で吉本興業の隠ぺい体質とパワハラが明らかにされると、風向きが変わった。二人は会見で、先月から謝罪会見を願い出ていたのに、吉本興業の方が退けていたこと、岡本昭彦社長が「一人で会見したらええわ。全員連帯責任としてクビにするからな」と亮に言ったことなど、信じられない内容を涙ながらに赤裸々に告白。すると世論は一気に覆り、吉本興業への批判が噴出したのだ。

 会見後には、ダウンタウン・松本人志と東野幸治が岡本社長に会見を開くよう働きかけ、『スッキリ』(日本テレビ系)では極楽とんぼ・加藤浩次が吉本興業を猛批判、「状況が変わらないなら退社する」と発言するなど、件の芸人たちへの「援護射撃」が広がっている。

 そんな中、7月22日に行われた岡本社長の会見は、まったく煮え切らない内容で、批判がさらに噴出。
事態はまだまだ収束しそうにないが、一連の問題は、吉本興業のみならず芸能界を揺るがす大きな転換点となりそうだ。

 そしてこれらの隠ぺい・パワハラ問題は、ジャニーズファンにとっても、他人事としてそれこそ「静観」できないものだろう。

 宮迫や亮の会見を見ながら、SMAP解散騒動での“公開処刑”といわれる謝罪生放送を思い出した人は少なくないのではないか。この解散騒動でも、ジャニーズ事務所のパワハラが盛んに指摘されていたからだ。

 もちろん事情はどうあれ、実際に反社と付き合いがあり、金銭を受け取っていないと嘘をついた宮迫らと、SMAPを一緒に語るわけにはいかない。しかし、SNSには以下のようなコメントが多数見られた。


「会見をフル放送したのはAbema TVだけ。宮迫&亮、SMAPの3人を見ると、事務所とテレビ局の関係に不信感を持つ。芸能事務所とのしがらみがないメディアを中心に、新しい報道ができればいいのに」
「宮迫と田村亮を脅した吉本、SMAPに圧力をかけたジャニーズ、能年玲奈を干したレプロ。この3社を糾弾できないんじゃ、報道機関として機能してないわ」
「宮迫と亮は、大変だろうけどまだ幸せ者だと思う。大御所が寄り添ってくれるんだから。SMAP解散騒動の当時、彼ら5人は本当につらかったと思う」



 宮迫と亮の“手作り”会見は、同情を集める内容だった。
情報を整理しつつ、臆測や主観を避けて「事実」を伝えようとする宮迫には、会見開始当初は「口がうますぎる」「芝居がかっている」という声もあった。しかし、そこから語られる吉本興業の対応のディティールが、具体的かつ信ぴょう性に富んでいたこと、また天然の正直者ゆえに、 岡本社長が「民放各局と吉本興業がズブズブの関係」と話したことを明かした亮とのタッグは、世論を味方につけ、事務所の異常さを伝えるのに最適だったと思う。

 SMAPを解散した本人たちが懸命に前を向いて進んでいるときに、いつまでも過去にしがみつくのは失礼かもしれない。しかし、この会見を見ながらどうしても考えてしまうのは、「もし解散前にSMAPもAbemaなどとの接点を持ち、こうした会見ができていたら……」ということ。

 宮迫と亮の姿を見ながら、つい「あのとき、頭が良く人脈が広く、大御所からの信頼も厚い中居正広と、真実しか語れない正直者の草なぎ剛とが会見をすることができていたら」などと重ね合わせて見てしまう。

 一部ファンの中には、何も語らず、自分たちだけが全てを抱えたまま解散したSMAPを讃える声もある。
でも、やっぱりあの「公開処刑」を彼ら自身が決して忘れることはないだろうし、SMAPファンのみならず、ジャニーズファンの多くも決して忘れることができないだろう。

 AKSによるNGT48メンバーへの暴行事件の隠ぺい、ジャニーズ事務所への公正取引委員会の「注意」、そして吉本興業の「闇営業」とパワハラ・隠ぺいなど、芸能界の闇が噴き出している2018~2019年。今後の展開を見逃せない。
(南山ヒロミ)