北朝鮮当局が公式メディアを通じ、ロシアに派兵してウクライナ戦争に参戦した事実を公開したことを受けて、北朝鮮国民の間からは「衝撃的だ」とする反応が出ていると、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じている。
朝鮮労働党機関紙・労働新聞や朝鮮中央テレビなど北朝鮮の国内向けメディアは28日、党中央軍事委員会の発表文を報道する形で、金正恩総書記の命令に基づき軍部隊がロシアに派兵されたことを公開した。
咸鏡北道のある住民はRFAに対し、「きょうの新聞とテレビ番組で、わが国の軍人がロシアを助けてウクライナ戦争に動員されたという事実が初めて報道された」とし、「今日一日中、これに関する内容が話題だった」と伝えた。
住民は「ほとんどの人は遠いヨーロッパの土地で起きた戦争にわが国の軍人が派遣されたという事実に、驚きだとの反応を示している」としたうえで、「ロシア派兵の事実をすでに知っている人も一部いたが、知らない人の方が多かった」と説明した。
米国やウクライナ当局の分析では、1万4000~5000人規模とされる派遣兵力のうち、4000~5000人が死傷したとされる。北朝鮮当局は最近まで、派兵の事実を国民に隠し続けてきたが、死傷者が発生したことも含め、国内では口コミ情報が徐々に拡散していた。
今後の対応を誤れば、国民から強い反発を招き、体制不安につながっていくリスクもある。
この住民も「昨年末、軍部隊がウクライナの戦場に派遣されるといううわさが出回ったが、当局は保衛部(秘密警察)、安全部(警察)を総動員して『デマを広めるな、でたらめなうわさを信じるな』と強く統制した。それがなぜ今さら事実を公開するのか分からない」と話した。
「親しくしているある若い友人は、なぜウクライナがネオナチになり、私たちが戦わなければならない敵になったのか理解できないと言った」とも付け加えた。
さらに、「仕事中、何人かが一緒にタバコを吸う場所で『果たしてどれほどの戦死者が出たから、まもなく平壌に戦闘偉勲碑を建てるというのか』という話も出た」としたうえで、「他国の戦場に送られて死んだ軍人はどれほど無念で、その親たちはまたどれほど心が痛むか心配する人もいた」と言及した。