北朝鮮の清津(チョンジン)造船所で発生した駆逐艦進水失敗事故を受け、責任者らが相次いで拘束されるなど余波が広がっている中、同じく東海岸にあり、潜水艦の開発拠点になっている(シンポ)造船所では「労働者の責任感を高めなければならない」として、無報酬の延長勤務を強制し始めたことが分かった。

現場では、「労働者の生活を無視した不要な措置だ」として反発の声も上がっているという。

デイリーNKが咸鏡南道(ハムギョンナムド)の消息筋から得た情報によると、新浦造船所の朝鮮労働党委員会は17日に内部会議を開き、「清津造船所の事故は造船労働階級全体の恥だ」とし、「新浦ではそのようなことが起きないよう、各自の業務に対する責任感を高めなければならない」と強調したという。

これに伴い、造船所の党委員会は各職場・作業班ごとに延長勤務を編成し、労働者一人ひとりに毎日の勤務日誌を詳細に記録するよう指示した。

さらに、「退勤してすぐ帰宅する態度は革命性に欠ける」として、各作業班の細胞書記に対し、労働者の勤務態度や退勤時間、無断離脱の有無などを報告するよう命じた。

消息筋によれば、「新浦造船所の労働者たちは定時に退勤できず、毎日1~2時間ずつ残って様々な作業をしているが、延長勤務に対する追加の報酬もなく、配給が支給されるわけでもない」と述べ、「やることがなくても“やっているふり”をしろという職場幹部たちの要求が、労働者の不満をさらに高めている」と伝えた。

さらに、こうした強制的な延長勤務が労働者の生活に直接的な打撃を与えていることから、現場の反応は冷ややかだ。

この点について、消息筋は「退勤後に市場で働く妻を手伝わなければならないのに、退勤時間が延ばされれば手伝う時間もなくなるという声があちこちで上がっている。また、上部に良く思われようとする党委員会のせいで、自分たちだけが余計に苦労させられていると不満を漏らす者も少なくない」と話した。

造船所で得られる月給だけでは家族を養えず、妻たちが市場で経済活動をしてなんとか生活を維持している労働者たちは、党委員会の「見せかけの強制延長勤務」指示に対して、あからさまに不満を表しているという。

また、一部の労働者からは「清津造船所での事故は、劣悪な条件下で起きた技術的な問題なのに、それを責任感や忠誠心の不足に転嫁するのはおかしい」とし、「愛国心で溶接ができるのか」と皮肉る声も上がっているという。

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