北朝鮮では地域によって連日の猛暑が続いているが、農業の機械化が遅れているため、多くの農民が炎天下で手作業を強いられている。
熱中症の被害が相次いでいることから、一部では作業時間の短縮が指示されることもあるが、いざ休もうとしても「思想がたるんでいる」などと叱責され、結局は働き続けなければならないという。
こうした農村の過酷な状況に、都市部から動員された学生たちは大きな衝撃を受けている。
両江道では今月初めに草取りの総動員令が下され、官公庁や企業、女性同盟、学校から多くの人々が農村地帯に送り込まれた。金正淑郡や金亨稷郡などの国境地帯では、機械も牛もほとんど見られず、人々が炎天下で汗だくになりながら一日中草取りをしている。
当局は農業の機械化を繰り返し訴えているものの、実際の現場では依然として人力に頼る農業が続いている。トラクターが配備されている農場もあるが、燃料不足でほとんど稼働しておらず、牛も栄養不足で力を出せないという。
農村に派遣された学生の中には、作業中に倒れる痩せた牛や、それを叩いて怒鳴る農民の姿を見て、涙をこぼした者もいた。
農民たちは本来10日に1度は休めることになっているが、作業量が多いうえに動員された人々の世話まで担わされ、実質的に休むことはできない。動員された人々に配られるはずの飴なども農民の取り分から賄われており、その負担は重い。
農民たちは、自分たちの状況を嘆きながら、中国への羨望を口にすることもある。国境地帯では中国側の様子がよく見えるため、機械が当たり前に動いている中国の農地と、鍬だけで作業する自分たちの姿を比べて、「自分たちは中国の牛にも劣る」と話すという。
「国は農村の近代化を強調するが、現実はとてもついて行っていない。住民の間では絶望感ばかりが広がっている」と現地の関係者は語る。
農村に動員された学生たちも、「自分の目で見て、農村の現状がいかに変わっていないかを痛感した」、「骨と皮ばかりの体で働く中年の農民を見て、言葉が出なかった」と口々に語っている。