1989年4月15日、イングランド・シェフィールドのヒルズボロ・スタジアムで行なわれたサッカー・FAカップ準決勝リヴァプール対ノッテンガム・フォレスト戦で、リヴァプール側ゴール裏に収容能力を上回るサポーターが押し寄せ、死者96人、重軽傷者766人を出す大惨事となった。
ホルボーンじいさんの悪名をイギリスじゅうに轟かせたのは、リヴァプールのユニフォームを着た太った女性2人の写真に対して、「this is what crushed the 96(96人を押しつぶしたのはこれ)」とTweetしたことだ。当然のことながら、「ヒルズボロの悲劇」の遺族だけでなくリヴァプールの多くの市民がこれに激怒した。
ホルボーンじいさんのいやがらせ(誹謗中傷)はネットだけではない。2010年には、ガイ・フォークス(1605年のジェームズ1世殺害を狙った「火薬陰謀事件」の首謀者として処刑。インターネットでは反体制のシンボル)の仮面をかぶってケンブリッジ議会に立候補するというパフォーマンスも行なっている。
なぜこんな奇矯な真似をするのか? それを知るためにバートレットはホルボーンじいさんに会いにいった。
「私を、くだらないことをわめいている男だと言ってくれてかまわんよ」ホルボーンじいさんはバートレットにいった。「ずっとそうだった。私は、根っからの反権威主義者なんだ」
バートレットにいわせれば、ホルボールじいさんは反権威主義者というより、ミナキスト(最小国家主義者)だ。