今年2月に日本たばこ産業(JT)が行なった発表によれば、2009年4~12月期は、タバコの販売不振などの影響で、同社の純利益が前年同期比18%も減ったという。
記者会見で同社副社長は、「2010年度は20%を上回る大幅な需要減を予想しており、銘柄によっては1箱100円超の値上げを検討せざるを得ない」と語った。
マイルドセブンを例にとると、1977年のデビュー時は1箱150円。それが約3年おきに20~30円ずつ値上げを繰り返し、現在は300円になっている。それが一気に400円台に突入するというのだから、愛煙家にとってつくづく肩身のせまい世の中となった。
これを機に、禁煙を決意する人も多いのではないだろうか? かくいう筆者もその1人。そこでまず行動に移したのが“タスポ(taspo)の退会”だ。
タスポは、たばこを自動販売機で買うときの「成人識別ICカード」だ。08年2月の導入以来、主目的である未成年者の喫煙抑止が果たされているのかどうか、常に疑問の声に晒されてきた。
実際タスポは、他人への貸し出しや譲渡が容易だし、たばこを買うだけならコンビニの店頭でも十分だ。店先の自動販売機からの収入に頼っていた街のたばこ屋を廃業に追いこむといった弊害も、少なからず指摘された。
公式サイトを確認してみると、「“taspoダイヤル”という専用番号(0120-222-180)に電話をするだけで退会手続きが可能」とある。必要な書類などは特になさそうだ。
電話をかけてみると、機械のアナウンスが流れた後、担当者につながる。
そうして最後に、気になっていた退会後の個人情報の取り扱いについて確認してみた。サイトに「退会後1年間は個人情報の抹消はせず、削除を希望する場合は退会後1年以上経過した時点で」と明記されていたからだ。
字面から判断するに、これはつまり「タスポ退会時にこちらから何も言わなければ、自分の個人情報を発行元である日本たばこ協会にずっと保有され続ける」という風にも受け取れる。
聞けば、「利用者が1年以内の再発行を希望した場合、手数料1000円のみ支払えば書類も写真も必要なく、再発行できるため」だという。再度必要となった場合は新規扱いで構わないから、すぐに個人情報を抹消してくれないかと頼んでみたが、「規則ですから」ということだった。
巷では、ゆくゆく「健康保険料の選定を喫煙歴によって査定する」という話も聞こえてくる。その際、過去のタスポの所有歴によって判断される可能性もあるかもしれない。
もし、禁煙を決意したのであれば、まずはタスポを退会することが近道かもしれない。いつでもどこでも自販機で買える状態から抜け出すことが、「あと1本だけ」の歯止めにもなるはず。そしてその際、「個人情報の抹消を依頼」するのも忘れないようにしたい。
昨今では、副流煙の危険性など、他人に及ぼす害を理由に禁煙を勧められる場合も多い。
(筒井健二)