うどん県にようこそ」「香川県は『うどん県』に改名しました」のサイトでも知られる通り、香川県と言えば讃岐うどん。今月29日からはJR高松駅の愛称を「さぬきうどん駅」に変更するという(3月26日発表)。


 名産品であることはもちろんだが、ウェブ上で

「(香川県で)ファーストフード店がつぶれる理由は、うどん屋のほうがファストかつうまいから」

「サラリーマンのランチの合い言葉は『今日どこ行く?』(どこのうどん屋に行くの意)」

 など、嘘か誠か判断のつかないコピペが流通するようになってから、「香川県=うどん」のイメージが一層強まったように感じられる。

 また、他の都道府県に住むネットユーザーたちは、そんなうどん好きな香川県民を茶化しながらも、どこかその“うどん愛”に敬意を払っている風すらある。

 総務省の統計局が発表した家計調査品目別データの「都道府県庁所在市及び政令指定都市別ランキング」によれば、高松市の「日本そば・うどん」の購入額(1世帯当たり年間の支出金額)は、1万4242円と、全国平均(5196円)の3倍近くにあたり、2位の宇都宮市(8615円)を大きく引き離す。

 名実ともに香川県が「うどん県」であることがわかるが、他のデータから、「うどん県」に次いで、名産品をその名に冠してもよさそうな都道府県の存在を見て取ることができる。

 数値は平成21~23年のデータを平均したもの。都道府県庁所在市及び政令指定都市(平成19年4月1日時点で政令指定都市であった都道府県庁所在市以外の都市=川崎市、浜松市、堺市及び北九州市)が対象。福島県の結果は参考値(東日本震災により調査票を回収することができなかった平成23年4月分及び5月分を除いた34ヵ月平均値×12ヵ月で算出)。

 香川県が「うどん県」ならば、「カステラ市」と言っても良さそうなのが長崎市。なんと年間で1世帯あたり、全国平均899円の約6倍にあたる6369円をカステラに投入。2位の金沢市(1687円)を大きく引き離している。江戸時代にポルトガルから長崎に伝来したと言われるカステラは、未だ長崎の「顔」だ。

 かつおの購入量が最も多いのは、高知市。
全国平均1551円のところ、1万145円というつぎ込み様。こちらも2位の浜松市(4237円)にダブルスコア以上の差をつけている。黒潮の運ぶ名物「土佐鰹」。高知県のご当地マスコット、ゆるキャラの「カツオ人間」は、一部ネット上でも話題となった。

 このほか、他都市より突出して購入額の多さが目立つのは、那覇市の「かつお節・削り節」(全国平均の約3倍、2位の浜松市の2倍以上)、広島市の牡蠣(全国平均の4倍弱、2位の仙台市の2倍以上)、鳥取市のナシ(全国平均の約4倍、2位の新潟市の2倍以上)など。いずれも、その土地の言わずと知れた名産品ばかりだ。
 一方で、2都市がトップ争いをする品目もある。ぎょうざは宇都宮市(4686円)と浜松市(4402円)が全国平均(2118円)に比べ突出。トップを守る宇都宮市を浜松市が、ものすごい勢いで追い上げている格好だ。焼酎は、宮崎市(1万3492円)と鹿児島市(1万3355円)が全国平均7187円を大きく上回り、熾烈な戦いを繰り広げている。

 喫茶代は岐阜市(1万3360円)と名古屋市(1万3240円)が高く(全国平均5128円)、喫茶代を除いた主食的外食で1位の東京都区部(11万8795円、全国平均5万1800円/喫茶代は8385円で3位)を上回るのが面白いところ。喫茶店で出されるモーニングセットの安さとボリュームが他県から話題にされることが多い名古屋や岐阜ならではの結果と言えるだろう。


 さて、あなたの住む街ではどんな食べ物がたくさん購入されているだろうか?詳細は統計局のサイトで確認できる。

(プレスラボ 小川たまか)
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