調査を行ったのは、民間調査会社のブランド総合研究所。このランキングは、47都道府県と国内1000の市区町村を対象に、認知度や魅力度、イメージなど全84項目からなる「地域ブランド調査2019」によるもので、今年で実施は14回目。全国の消費者3万1369人から有効回答を得た。
1位は11年連続の北海道大阪府は自己最高位の6位に
2019年の都道府県魅力度ランキング1位に選ばれたのは北海道で、11年連続のトップとなった。2位は京都、3位に東京が続き、5位神奈川県までは昨年と全く同じ順位だった。
6位になったのは昨年7位の大阪府で、自己最高位となった。大阪府は、今年6月にG20サミットが開催され、今年7月には「百舌鳥・古市古墳群」が世界遺産登録された。そして2025年には大阪万博が行われるなど、こうした大きなトピックが魅力度に好影響をもたらしたようだ。
石川県は昨年の11位から2つ順位を上げて9位となった。その代わりに昨年よりも順位を落としたのが、長野県と長崎県だ。
「石川県は北陸新幹線による効果が定着してきたといっていい。しかし、昨年10位の長崎県は2018年7月に世界遺産に登録された『長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産』の効果が今年になってはがれている。こうした他県の魅力度低下による“漁夫の利”で石川県の順位が上がった部分があるのも確かだろう」
茨城県が7年連続の最下位埼玉県は『翔んで埼玉』、徳島県は『紅白』が好影響
一方、下位に目を移すと、茨城県は残念ながら7年連続最下位(47位)という結果になった。同じ北関東の群馬県は45位、栃木県は43位に。ワースト2位(46位)は、前回44位の佐賀県となった。前回40位台だった都道府県は、岐阜県(今回36位)を除いて、今回も40位台と、下位の順位もほぼ“安定”してしまっている。
そんな中でも、40位台で順位を伸ばしたのが埼玉県と徳島県だ。
埼玉県は、昨年43位(11.4点)から41位(12.8点)へと2つランクアップした。やはり大きな影響をもたらしたのは、今年2月に公開された映画『翔んで埼玉』だ。同調査の中で「ドラマや映画・アニメなど」を介した情報接触度を調べた項目では、埼玉県は昨年21位(接触度3.1%)から3位(11.3%)へと大きく順位を上げた。
しかし、愛着度については昨年46位(41.3点)から今年は47位(41.6%)と、この映画は埼玉県への愛着にはつながらなかったようだ。
徳島県は、昨年の46位から44位へと順位を上げた。この要因として考えられるのが、2018年大みそかのNHK紅白歌合戦だ。シンガー・ソングライターの米津玄師さんが、地元徳島県鳴門市の大塚国際美術館から歌唱したことで、同スポットが大きな注目を集めている。
「徳島県の魅力度の点数は、昨年9.8点から12.2点へと伸び、上昇率は全都道府県でトップになった」と田中社長が語るように、その影響はただならぬものがあったようだ。
2015年に本格的に取り組みが開始した地方創生によって、多くの自治体が本格的に自らの魅力を高めたり、発信したりするようになってはや4年。しかし、一時的に大きな注目が集まっても、日本人の関心は移ろいやすく、あっという間に忘れ去られてしまう。
「魅力度が高まった」「観光客が増えた」という一時の結果にあぐらをかかず、常に魅力があると思われるような地域活性化の取り組みが全国の自治体に求められる時代になっている。
(ダイヤモンド・オンライン編集部 林 恭子)