さらに内閣人事局が実施した意識調査(※)によると、30歳未満の若手男性官僚の7人に1人(14.9%)、同女性官僚の10人に1人(9.7%)が数年以内の辞職意向を持っているなど、若い世代の「官僚離れ」は深刻化しています。
(※)内閣官房 第18回 女性職員活躍・ワークライフバランス推進協議会(2020年6月19日)
なかなかデジタル化が進まないなど旧来型の慣習が残り、国会答弁を作成する「国会待機」などによる長時間労働が問題視されている中央省庁において、風通しよくチームワークを発揮できている組織はあるのでしょうか。
就職・転職のためのジョブマーケット・プラットフォーム「OpenWork」を運営するオープンワーク株式会社は、同サイトに現役職員・元職員から投稿された中央省庁への評価レポートから「社員の相互尊重」「風通しの良さ」の評価点を集計し、中央省庁のランキングを作成しています。
それでは早速、職員の相互尊重ができていて、風通しのいい「チームワークの良い中央省庁ランキング2020」を見ていきましょう。
※2020年10月までに「OpenWork」に投稿された官公庁への会社評価レポート7575件が対象。回答が10件以上ある中央省庁等に限定して作成した。
チームワークの良い中央省庁は1位特許庁、2位経済産業省に
官僚が選ぶ「チームワークの良い中央省庁ランキング2020」の1位に選ばれたのは、特許庁でした。「風通しの良さ」は中央省庁の中でトップのスコア3.89になっています。
2位は経済産業省、3位は環境省、4位は裁判所、5位は衆議院が選ばれました。
フラットで個人の意見も尊重特許庁、経産省、環境省の魅力
今回1位になった特許庁は、経済産業省の外局として、発明や商標などの産業財産権に関わる審査を行っています。クチコミからは、審査官一人ひとりに裁量が与えられており、個人の考えが尊重される風土があることがうかがえます。
2位の経済産業省は、上司と部下の垣根を越えて提案ができるなど、比較的フラットな組織体制があるとのこと。
【1位 特許庁の職員クチコミ】
「審査部は比較的フラットな組織体系。基本的に審査業務は一人で完結するため、各人の判断は尊重されやすい印象。特に審査部は、お役所らしく堅実でまじめな人が多いように感じる」(審査官、男性)
「個々人が特許性の判断を行う権限を持っていることもあり、比較的個人の考えが尊重される風土があるように思える。審査部の職員はほとんどが審査官であるため論理的に対話をすれば年次にかかわらず聞き入れてくれる人も中にはおり、風通しの良い職場である」(審査官、男性)
【2位 経済産業省の職員クチコミ】
「風通しがよい。モチベーション高い人が集まっている。どんなことにも挑戦しようとする雰囲気が醸成されている。自由闊達な雰囲気。上司との距離感も近く、言いたいことはどんどん発信できる。また上司も話を聞いて、まずはやってみなさい、といった雰囲気」(事務、男性)
「官僚機構の組織体制は存在し、トップダウンである面も多々あるが、ほかの省庁に比べると、ボトムアップで若手からの提案を受け入れる土壌がある。企業文化として、特に上層部においては、ワーカホリックで、仕事が好きな人が多いが、若手を中心に変わりつつある」(係長、女性)
「上司部下にとらわれず、意見が言いやすい。アンテナを高くはり、さまざまな情報や人脈に接すること、マネジメント能力の高さが求められる」(課長補佐、女性)
【3位 環境省の職員クチコミ】
「風通しが良く、幹部職員にまで短期間(時間)で協議案件をあげることができる。
「歴史と伝統がある省ではないので、風通しはかなり良い印象。上位の役職者とも、比較的フラットな状態で会話、相談できる。また、多くの出向を受け入れており、さまざまな自治体、企業、機関から人員を受け入れているため、多くのバックグラウンドを持っている職員が在籍しているのも他の省庁と比べた際の特徴」(事務、男性)
国家公務員は上意下達の古い体質で、風通しも悪そう……こうしたイメージを持っているがために、志望していない人もいるかもしれません。しかし、今回紹介したクチコミを見る限りでも、風通しが良く、お互いを尊重しながら、チームワークの良さを発揮している組織もあることがわかります。
国家公務員をすべて一緒くたにせず、自分がいきいきと働けそうな組織を中央省庁の中から探してみるのもいいのではないでしょうか。
(本記事はOpenWork[オープンワーク]からの提供データを基に制作しています)