大量生産、大量消費、大量廃棄型の社会から脱却し、循環型社会への移行が求められる昨今。日ごろからごみの減量化や資源のリサイクル・リユースなどを行うことが大事だが、実際にこれらに積極的なのは、どの地域の住民なのだろうか。

 各都道府県の住民へのアンケートによって、「資源リサイクル・リユース」に取り組んでいる人の割合を明らかにしたのが、ブランド総合研究所の実施した「資源リサイクル・リユースに熱心な都道府県ランキング」だ。

 このランキングは、ブランド総合研究所が今年6月に行った住民視点で地域の課題を明らかにする『都道府県SDGs調査2020』によるもの。それでは早速、47都道府県の住民へのアンケートでわかった「資源リサイクル・リユースに熱心な都道府県ランキング」を見ていこう。

※調査を行ったのはブランド総合研究所。アンケートはインターネットにて実施。1万6000人から回答を得た(各都道府県から約350人)。

調査期間は2020年6月12日~29日。「あなたが普段の生活の中で、意識して取り組んでいるものがあればいくつでもお選びください」との問いに対し、消費行動・エコ行動・社会行動に関する20の項目を示し、該当するものをすべて選んでもらった(複数回答)。

資源リサイクル・リユースに熱心な都道府県
1位は長野県、2位は岩手県に

「資源リサイクル・リユースに熱心な都道府県ランキング2020」1位は、長野県になった。資源リサイクル・リユースに取り組んでいる人の割合は25.3%だった。

 2位は岩手県(行動率24.8%)、3位は山梨県(23.1%)、4位には佐賀県(22.2%)、5位に茨城県(22.2%)が続いている。

上位県では自治体が主体で
県民参加のリサイクル・リユース運動を実施

 今回上位になった都道府県では、実際に資源リサイクル・リユースに関するどのような取り組みが行われているのだろうか。

 1位の長野県には、「信州リサイクル製品認定制度」がある。これは、県内で発生した廃棄物を利用して、県内の事業所で製造加工され、所定の品質や安全性の基準を満たすリサイクル製品を「信州リサイクル製品」として認定するものだ。民間団体と県が協力して「信州リサイクル製品普及拡大協議会」を設立し、活動を行っているという。

 2位の岩手県では、ごみの減量化(リデュース)、くり返し使う(リユース)、資源として再生利用する(リサイクル)の3Rに基づくライフスタイルの実践を呼びかける「もったいない・いわて3R運動」を展開している。具体的に、県民1人あたりの生活系ごみ排出量の目標値を定めるなどして、県民に活動を促す。そして、この活動を通じて将来まで持続可能な循環型社会を形成すること、そして「環境王国いわて」の実現を目指しているという。

 同調査を行ったブランド総合研究所の田中章雄社長は、上位県の取り組みについて以下のように評価する。

「長野県や岩手県などのように、自治体が先進的な取り組みを行っていると、住民はそれをしっかりと理解し、評価していることがわかる。住民の参加意識を高めるためには、自治体がまず積極的に資源リサイクル・リユースに対する取り組みを行うことが大切だろう」

年代が上がるほど行動率は上昇
専業主婦が行動の主体に

 資源リサイクル・リユースへの行動率を居住地以外の属性で見ていくと、年代が高くなるほど行動率は高くなる傾向があった。実際に、20代以下では9.9%だったのに対し、50代では21.8%、60代以上では23.2%になっている。

 性別で見ると、男性が12.4%に対し、女性は22.4%と、10ポイントも女性の方が資源リサイクル・リユースへの意識が高いことがわかった。また、会社員・役員では行動率が13.4%だったのに対し、専業主婦では26.1%だった。

 こうした傾向が顕著に表れたのが、5位の茨城県だ。茨城県の行動率を年代別で見ていくと、20代は8.4%だったのに対し、30代は14.7%、40代27.6%、50代23.5%、60代36.8%となった。60代では20代の4倍以上が資源リサイクル・リユースに取り組んでいることがわかる。中でも専業主婦の行動率は41.4%と、専業主婦が茨城県全体の資源リサイクル・リユース行動を引っ張り上げている。

 こうした結果からも、各自治体が資源リサイクル・リユース活動を住民全体に広げていくためには、若い世代を中心に意識を高めることが重要だろう。

(ダイヤモンド・セレクト編集部 林恭子)