スカイマークが100億円を上回る規模で資本増強を検討していることが、ダイヤモンド編集部の取材で分かった。コロナ禍が深刻になる中、筆頭株主の国内投資ファンドやANAホールディングスなど大株主に引き受けを打診。
ANAは支援要請に応じない方針
国内航空3位のスカイマークが、100億円を上回る規模で資本増強を検討していることが、ダイヤモンド編集部の取材で分かった。
新型コロナウイルスの感染拡大で旅客需要の低迷が続いている。2月7日に期限を迎える政府の緊急事態宣言は、延長の可能性が濃厚になっている。航空業界の経営環境が今後さらに厳しくなるのは必至の情勢だ。
そんな中スカイマークは、銀行からの借り入れで当面の資金繰りにめどは付いているものの、このままでは2021年3月期の決算で債務超過に陥る恐れも出てきた。このため、同社は増資によりコロナ禍のさらなる長期化に備えることを目指す。
スカイマークの20年4~9月期の業績は非開示。だが、同年9月16日に読売新聞、翌日に日本経済新聞が営業損益で約100億円の赤字になるとの見通しを報じている。
しかし、ダイヤモンド編集部によるファンド関係者への取材で、実際の営業損益が約170億円の赤字であることが判明。純損益では約160億円の赤字を計上し、20年3月末時点で216億円を確保していた純資産が、その後大幅に目減りしている実態が明らかになった。
そのスカイマークには、国内投資ファンドのインテグラルが50.1%、ANAホールディングス(HD)が16.5%、日本政策投資銀行と三井住友銀行が共同出資するファンドが33.4%を出資している。
スカイマークはこれらの大株主に対して、第三者割当増資の引き受けを打診。だが、コロナ禍で旅客需要の回復が不透明なこともあり、調整は難航する恐れがある。
実際、インテグラルは支援要請に応じる公算だが、「ANAHDは応じない方針、政投銀と三井住友銀も追い銭を払うかどうか不透明」(証券業界関係者)という情勢だ。
一方、同様に経営不振に陥っている航空会社のスターフライヤー(北九州市)の要請に対しては、ANAHDは大株主として20年12月に追加出資することを決断した。スカイマークとは対照的な態度を取っている。
なおダイヤモンド・オンラインでは、ANAHDがスカイマークの要請に応じない背景などについて『スカイマークが100億円超の増資へ、それでも大株主ANAが応じない理由【スクープ完全版】』で詳報している。