日本アジアグループ株式会社が、2020年11月に発表していた「株主優待の廃止」を撤回することを、2021年3月22日の17時45分に発表した。

 日本アジアグループの株主優待は、毎年3月末時点の株主に実施されており、従来の内容は「1000株以上を保有する株主に、保有株数と継続保有期間に応じて『Amazonギフト券』を贈呈」というものだった。

 2020年11月に日本アジアグループは、この株主優待を廃止することを発表していた。廃止の理由は「MBO」(マネジメント・バイアウトの略。買収対象会社の経営陣が、買収資金の全部または一部を出資して、買収対象会社の事業の継続を前提に、買収対象会社の株式を取得する取引)の一環で、グリーンホールディングスエルピーによってTOB(公開買い付け)が行われるためで、TOBの成立後、日本アジアグループは上場廃止となる見通しだった。
【※関連記事はこちら!】
日本アジアグループ、株主優待を廃止! 1000株以上でアマゾンギフト券がもらえたが、MBO成立後に上場廃止の見通しで、優待は廃止され、期末配当も無配に

 しかし、この公開買い付けが不成立になったことから、日本アジアグループは上場廃止にはならず、株主優待の廃止も撤回することに。2021年3月期以降も、これまでと同様の株主優待制度を継続するとのことだ。

 なお、日本アジアグループは株主優待の廃止を発表した際に、配当予想も無配に修正していた。

今回、2021年3月期の期末配当については引き続き、無配予想とすることを発表したが、同社は3月18日を基準日として、1株あたり300円の特別配当を実施しており、年間配当金は300円となっている。

 この特別配当は、2021年2月にシティインデックスイレブンス社から敵対的TOBが開始されたことについて、反対の意見を表明した日本アジアグループが、対抗策として実施したもの。このとき、シティインデックスイレブンス社はTOBを取り下げているが、3月17日に2回目となるTOBの開始を発表している(公開買い付け価格は910円)。

廃止が撤回された日本アジアグループの株主優待制度の詳細 ■廃止が撤回された日本アジアグループの株主優待制度の詳細 基準日 保有株式数 保有期間 株主優待内容 3月末 1000株以上 3年未満 Amazonギフト券1000円分 3年以上 Amazonギフト券2500円分 2000株以上 3年未満 Amazonギフト券2000円分 3年以上 Amazonギフト券5000円分

 日本アジアグループの2021年3月22日時点の株価(終値)は930円なので、株主優待利回りは以下のようになる。

(1000株・3年未満保有の場合)
投資金額:1000株×930円=93万円
株主優待品:Amazonギフト券1000円分
株主優待利回り=1000円÷93万円×100=0.10%

 日本アジアグループの株主優待は利便性が高い「Amazonギフト券」で、一度は発表された「廃止」が「撤回」されるという珍しい展開になった。ただし、同社は再び敵対的TOBの対象となっており、株価の動きが活発になっているため、投資する際は最新の情報を収集するように心がけたい。


【※関連記事はこちら!】
【3月の株主優待の内容&利回りを調査(2021年版)】オリックス、KDDI、トリドールなどの人気の優待株に加え、高利回りQUOカード優待&新設銘柄の情報も!
【2021年3月】QUOカード株主優待利回りランキング! 配当+優待利回り5%超でランキング1位の「学究社」をはじめ、利回り3%超の85銘柄の利回り&内容を紹介

 日本アジアグループは空間情報事業やグリーンエネルギー事業、森林活性化事業などを展開する企業。2021年3月期(通期)の連結業績予想は、売上高が937億円(前期比4.3%減)、営業利益が36億円(前期比46.6%増)、経常利益が18億円(前期比225.2%増)、当期純利益が1億6000万円(前期比92.0%減)。

■日本アジアグループ業種コード市場権利確定月情報・通信業3751東証1部3月末株価(終値)必要株数最低投資金額配当利回り930円1000株93万円ー※株価などのデータは2021年3月22日時点。最新のデータは上のボタンをクリックして確認してください。
※「必要株数」は株主優待の獲得に必要な株数、「最低投資金額」は株主優待の獲得に最低限必要な資金を指します。