コロナ禍の前に行われた20年卒の採用。果たして主要企業はどの大学から学生を採用したのだろうか。
就活生の親世代(バブル世代)が就活していた1990年頃は、携帯電話など存在せず、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクという大手通信キャリアも存在していなかった。90年代に入ってから携帯電話が爆発的に普及し、2010年代にはスマートフォンも普及。その波に乗ってこれら通信キャリア3社は大きく業容を拡大、業績を伸ばしてきた。
しかし、菅義偉政権になって、状況は急変する。日本の携帯電話料金が海外諸国と比べて高過ぎるとして、大手通信キャリアに値下げ圧力がかかったのだ。直近では各社が月額3000円を切る料金プランを発表して値下げに動いている。今後も通信インフラの整備に継続的に投資が必要な通信キャリアにとっては、通信料金の値下げは業績圧迫要因となるだろう。
19年の大手通信キャリア3社の「採用大学」ランキングは、ドコモは1位早稲田大学、同率2位が慶應義塾大学と明治大学。KDDIは1位早稲田、2位明治、3位慶應。ソフトバンクは1位早稲田、2位慶應、3位明治の順だった。
果たして20年のランキングの顔触れはどうなったのだろうか。
3社とも1位は早稲田が堅持ドコモとKDDIは3位に新顔
20年の3社の1位は、いずれも前年1位の早稲田だった。2位も3社とも同じで慶應。ただ3位の顔触れには変化があった。ソフトバンクは前年と同じ明治だったが、ドコモは前年4位の同志社が3位に上がり、KDDIは前年TOP10圏外の京都大学が躍進した。
個別に見てみると、TOP10で新しい顔触れが最も多いのはドコモだ。5位の電気通信大学、同率7位の千葉大学、青山学院大学、同率10位の東京工業大学、中央大学、関西学院大学と、6校が新たにランクインしている。
KDDIは3位の京大、同率5位の一橋大学、同率7位の電気通信大と神戸大学が新顔だ。ソフトバンクは、4位の東工大、同率8位の横浜国立大学、立命館大学が新たにTOP10入りしている。
通信キャリア3社の採用大学は、総じて早慶、関関同立、旧帝大、MARCHなどが多く、各社とも優秀な人材の獲得に注力している様子がうかがえる。これまで携帯電話市場は大手3社の寡占状態が続いてきたが、政府による値下げ圧力が高まる中で、今後勢力図は変化していくのだろうか。
*ランキング表の見方
医科・歯科の単科大等を除く全国735大学に2020年春の就職状況を調査。551大学から得た回答を基にランキングを作成した。就職者数にグループ企業を含む場合がある。大学名横の*印は大学院修了者を含むことを表す。大学により、一部の学部・研究科を含まない場合がある。東京大学は「東京大学新聞」より集計。慶應義塾大学は就職者3名以上の企業のみ公表。企業名は大学通信の調査方法にのっとって表記しているため、正式名称と異なる場合がある。 調査/大学通信