コロナ禍の前に行われた20年卒の採用。果たして主要企業はどの大学から学生を採用したのだろうか。

総合商社、コンサル、金融、メーカー、流通、運輸、情報通信など主要12業種の58の企業別2020年採用大学ランキングを作成した。第13弾はファーストリテイリンググループとニトリという主要小売り企業の採用大学ランキングをお届けする。

 新型コロナウイルスの感染拡大で緊急事態宣言が繰り返し発令される中、大きな影響を受けている業界の一つが小売りだろう。ただ、小売り業界が一様に業績不振に陥っているわけではない。外出自粛などの影響で百貨店やコンビニエンスストアが苦戦する一方で、コロナ禍にうまく適応して業績を伸ばしている企業もある。その代表例がファーストリテイリングとニトリホールディングス(以下、ニトリ)だ。

 両社に共通するのは、外出自粛を逆手に取り、“巣ごもり需要”を喚起して追い風に変えたことだろう。ファーストリテイリングは、外出自粛により部屋で過ごす時間が増えた人向けに部屋着のラインアップを充実させ、国内事業は好調を維持。2021年8月期の連結業績予想を上方修正した。

 ニトリも、巣ごもり需要の高まりで収納家具やテレワーク用の家具、キッチン用品などが好調で、21年2月期の連結営業利益は過去最高を記録。22年2月期も増収増益を見込んでいる。

 環境変化に機敏に対応している両社は、どんな大学から学生を採用しているのだろうか。

コロナ禍の影響を受ける前の19年のランキングを見てみよう。ファーストリテイリングは1位早稲田大学、2位立命館大学、3位日本大学。ニトリも1位は早稲田、2位立命館、3位が北海道大学だった。

 果たして20年のランキングの顔触れはどうなったのだろうか。

TOP10全て難関私大のファストリ
ニトリは国立大からも採用

 20年のファーストリテイリングとニトリの採用大学ランキングは、上位の顔触れに変化があった。ファーストリテイリングは1位に前年同率4位の慶應義塾大学、2位に前年7位の法政大学、同率3位に前年1位の早稲田と前年同率4位の明治大学が入った。

TOP3の顔触れが大きく変わった格好だ。

 5位の上智大学、同率6位の青山学院大学は、前年のTOP10圏外からランクイン。ファーストリテイリングのTOP10は、早慶、MARCH、関関同立など全て難関私大で占められた。

 一方、ニトリは早稲田が前年同様1位に。2位は前年同率4位の関西大学、3位は前年同率6位の関西学院大学となった。ファーストリテイリングと違うのはTOP10に国立大が入っていること。

5位に前年3位の北大、6位に前年8位の東北大学、10位に前年はTOP10圏外だった大阪大学がランクインした。

 コロナ禍にあっても業績好調な両社には、今後も難関国立・私立大学から人材が集まってくるだろう。

*ランキング表の見方
 医科・歯科の単科大等を除く全国735大学に2020年春の就職状況を調査。551大学から得た回答を基にランキングを作成した。就職者数にグループ企業を含む場合がある。大学名横の*印は大学院修了者を含むことを表す。

大学により、一部の学部・研究科を含まない場合がある。東京大学は「東京大学新聞」より集計。慶應義塾大学は就職者3名以上の企業のみ公表。企業名は大学通信の調査方法にのっとって表記しているため、正式名称と異なる場合がある。 調査/大学通信