筆者は、吉本でお笑いコンビ「オオカミ少年」で活動する傍ら、探偵事務所の代表を務めています。私はこれまで数多くの調査に携わってきて、その分、多くの依頼者とも会ってきました。

そのほとんどの依頼者とは1回の調査が終わるとその後、会うことはありません。それは依頼の内容がほぼ浮気や不貞の調査のため、証拠をつかんでしまえばカップルなら別れるか、既婚者であれば離婚して賠償金や親権を裁判で争うことになるからです。しかし、ごくごくまれにリピート依頼があります。今回はそういったリピート依頼をする、調査対象者に依存してしまっている依頼者たちの傾向と悩みについて紹介します。ご自身にその傾向が当てはまるようでしたら、依存対象を断ち切ることを強く強くお勧めします。(探偵芸人 オオカミ少年・片岡正徳。登場人物の名前はすべて仮名)

有村架純似の美人依頼者
26回も調査を繰り返す理由とは?

 まずは、現在の最多リピート依頼記録保持者の望月真由さん(34歳)のケースです。

 数年前に知り合いの探偵社からの協力依頼で調査した案件の依頼者だった真由さんは、IT会社でデザイナーとしてバリバリ働いていて、女優の有村架純さん似のとてもきれいな女性。今までお会いした依頼者の中でも、トップ5に入るほどの美人です。そんな真由さんは数年にわたり、26回も調査を依頼してきているのです。最近も数週間前に依頼がありました。

 その依頼内容は、お付き合いしている男性の不貞調査です。

これまでの26回の調査対象は全て結婚を前提にお付き合いしている同じ男性です。この時点で十二分に異常性が感じられると思います。真由さんが依頼のため片岡探偵事務所に電話してくるのは、その男性と結婚したい!と強く思った時と決まっています。

 真由さんの調査依頼から調査完了までは非常に簡潔です。調査依頼の動機・調査依頼の連絡・調査日の決定・調査実施・調査報告・請求・入金まで、調査や報告に対して口出しもありません。

 真由さんから「今度こそ彼を信じてみようと思いますので、結婚前の最後の調査をお願いします」という連絡があり、調査日を決めて調査完了後に調査報告書を郵送すると、後日調査費用の入金があり、調査は終了します。これまで26回の調査で真由さんがお付き合いしている男性は、隠す様子もなく、必ず不貞を行っているのです。しかも全て違う女性でした。

 私は5回目までは対象者を断ち切るように説得をしましたが、真由さんはすぐに立ち直り、そして同じことを繰り返し続けています。対象者も真由さんと別れる気はないようで、私は「理解できない愛の形もあるのだ」と割り切ることにしました。

 私は対象者に極度に依存してしまっている真由さんからの電話がかかってこなくなる日まで、今後も淡々と調査を行い、調査結果を報告し続けます。

川口春奈似の明るい女性
探偵に頼むような悩みはなさそうだが…

 続いては、片岡探偵事務所に直接、調査依頼の電話をしてきた小野愛美さん(28歳)のケースです。

 愛美さんはカフェで働く、川口春奈さんを少しふくよかにした感じの方です。愛嬌(あいきょう)があってかわいらしく、とても気さくで、探偵に依頼してくるほど悩んでいるような暗さは全くなく、いつも相手を楽しませるような明るい性格の女性でした。そんな愛美さんの悩みは、「ある男から脅迫されていて、それが誰かを突き止めたい」という内容でした。

 ある日、突然非通知で電話があり、見知らぬ男から「お前のSEX動画を持っている。ネットでばらまかれたくなかったら50万円払え!」と脅されたそうです。受話器を通して聞かされたSEX時の音声は、自身の声だと愛美さんはすぐに確信しました。さすがに依頼内容の説明になると、愛美さんの明るかった表情もみるみるうちに暗くなり、説明の後半は涙まじりで聞き取りにくいほどでした。つらいことを思い出しながら説明するのはとても勇気が必要だったと思います。

 内容的には刑事事件にも発展するレベルですが、被害の証拠がなく、警察では取り合ってもらえなかったため、片岡探偵事務所に電話をくださったのです。けなげに話す愛美さんの問題を解決すべく、調査方法について綿密に打ち合わせをしました。

依頼者の彼氏も協力
脅迫者と会うことに

 調査方法は、指定された日時と場所で脅迫者にお金を渡したあと、脅迫者を尾行して素性を割るというものでした。愛美さん自身にも危険が生じかねませんが、愛美さんの彼氏が遠巻きに見守っており、何かあれば助けてくれる手はずになってるので心配はないとのことでした。

 愛美さんの彼氏とは調査開始まで都合が合わず挨拶することもできませんでしたが、愛美さんが密に連絡をとってくれているので、私は脅迫者を追うことだけに集中しました。

 そして当日を迎えて、打ち合わせ通りの場所で待機しました。脅迫者から指定された時間に、埼玉県のとある小さな駅の前に立つ愛美さんのスマホが鳴り、電話を切った愛美さんは駅に向かって走り出しました。

 愛美さんからのメールでは「30分以内に新たに指定された駅に向かえと言われました。到着時間がギリギリのため急いで向かいますので、片岡さんも急いで向かってください!お願いします!!」とのことでした。私はバイクで待機していたパートナーと合流して、急いで現場に向かいました。

>>(下)に続く

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