コロナ禍、3度目の夏休み
編集部独自に水質を格付け

 いよいよ海水浴シーズンが到来! 2022年は6月に記録的な猛暑日が続いたこともあり、久々に海に行きたいという人も多いだろう。新型コロナウイルスの感染拡大が3年目に突入し、少し落ち着きを取り戻したことから、今年は3年ぶりに開設された海水浴場も多い。

海上保安庁によると、全国の海水浴場のうち、21年は6割しかオープンしなかったが、22年は8割がオープンするという(6月30日時点)。

 ただ、7月に入り再び全国で感染者数が急増していて、行動制限の検討を求める声も多くなっている。この夏ずっと自由に海水浴場に行けるのか、不透明な状況になりつつあるので、出かける際には注意してほしい。

 環境省はコロナ禍の影響で、例年行ってきた全国の海水浴場(川、湖沼の水浴場を含む)の水質調査を20年に中止した。それが今回、3年ぶりに調査を再開。そのデータを基に、ダイヤモンド編集部が独自に水質の格付けを実施した。

「水がきれいな海水浴場ランキング2022」は、水質格付けが最高位の「AA」だった474カ所の海水浴場を対象に、水の汚れを示す化学的酸素要求量(COD)が低い(=きれいな)順にランキングした。なお、格付けは5段階で、適(AA、A)、可(B、C)、不適の5種類ある(詳細は、ランキングの最後に付けた注釈を参照)。

 前述の通り、ランキングには川、湖沼の水浴場も含まれているので、海のない自治体に住む人もぜひチェックしてみてほしい。身近にきれいな水辺があると驚くかもしれない。

静岡県沼津市がトップを独占
水がよどまない理由とは?

 CODが0.5mg/リットル未満で、全国で最も水がきれいな海水浴場は3カ所。全て静岡県の沼津市だった。

大瀬、千本浜、平沢(らららサンビーチ)だ。

 ちなみにこの3カ所は、21年版のランキングでも堂々の1位だった。大瀬は、周辺の海に約700種類の海中生物が生息し、ダイビングスポットとして有名だ。

 平沢は、人工の海浜施設だ。貝やサンゴが混ざった白い砂浜で、堤防に囲まれているため波は穏やかで遠浅という特徴がある。21年は海水浴場として開設されなかったが、22年は開設され、すでに多くの家族連れで賑わっている。

 なお、千本浜は21年に引き続き、非開設。ライフセーバーも不在なので海水浴は避けるべきだ。

 さて、4位にも、静岡県沼津市にある島郷がランクインしている(海水浴場としては非開設)。

 なぜ、沼津市の海が4カ所もトップ10にランクインするのか。その理由は、沼津市が面する駿河湾の水深が深いこと、同市に流れ込む富士山由来の河川の水質がきれいなこと、駿河湾は湾ではあるが外洋に対して開けており、水がよどまないことなどが有利に働いているという。

東京都3カ所が上位にランクイン
トップ10で唯一の湖沼はどこ?

 4位はCODが0.5mg/リットルで、前述した島郷を含む7カ所が同着だった。

しかし意外にも、そのうち3カ所が東京都にある。いずれも都の離島、伊豆七島のビーチだ。

 都心から高速船に乗って2時間弱、大島町にある弘法浜は、伊豆大島最大のビーチで、町の中心・元町港近くに位置する。伊豆大島は火山島のため黒い砂浜が特徴だ。

 伊豆大島から南下すると、人口2500人の新島に着く。本村前浜は、白い砂浜が特徴で、最盛期もそこまで混雑せず、ファミリー層にも人気の穴場ビーチだという。

 さらに南下すると三宅島にたどり着く。三宅島も火山島なので、大久保浜は黒い砂浜が特徴的だ。全長2キロメートルもあり、ビーチ沿いのキャンプ場が人気を集めている。

 基本的に、海流で水が入れ替わる離島周辺や、人口が少なく生活排水などが混ざりにくい場所にある海は、きれいな水質を保てる傾向がある。

 同率4位には、沖縄県の特徴が異なる2カ所がランクイン。うるま市の伊計ビーチは、たくさんの熱帯魚が泳ぎ、潮の干満に影響を受けにくいこともあって、多くの人が訪れる人気スポットだ。

 一方、読谷村(よみたんそん)の読谷村営残波ビーチは、那覇市から車で1時間ほどの距離にある。外洋との間に大きなサンゴ礁があるため、波は穏やか。透き通った海と白い砂浜が広がる美しいビーチだ。

 同じく4位には、トップ10唯一の湖沼がランクイン。秋田県仙北市の田沢湖だ。田沢湖はほぼ円形のカルデラ湖で、最大水深が423.4メートルと日本で最も深い湖として知られる。その深さゆえ、水質が良いと考えられる。

 なお、冒頭でも記したように、今後のコロナ感染状況次第では途中閉鎖される海水浴場もあるかもしれない。海水浴場として開設されていない水辺は、遊泳ネットが未配置のため、クラゲやサメといった危険生物と遭遇する可能性がある。泳ぐのは非常に危険だ。

(ダイヤモンド編集部 宝金奏恵)

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