今回で6年目となる恒例の好評企画が、この「40歳年収が高い会社ランキング」です。全上場企業を対象として、独自に「40歳時の年収」を推計。
「2000万円超え」が2社
長年弊害が指摘されているものの、日本企業の多くでは年功賃金性がいまだに色濃く残っています。そのため、従業員の平均年収を扱う通常の年収ランキングでは、どうしても従業員の平均年齢が高い会社の値が高く出がちです。
そこでお届けするのが、今回で6年目となる恒例の好評企画である「40歳年収が高い会社ランキング」の最新版です。詳細なランキング作成方法は文末でお伝えしますが、全上場企業を対象に、経験や実績を積んだ働き盛りである40歳時の年収を独自に推計。その結果をランキング形式でまとめました。
では早速、トップ5を発表していきましょう。
1位はM&Aキャピタルパートナーズ推計40歳年収は2739.3万円
栄えある第1位に輝いたのは、M&A(企業や事業の合併・買収)の仲介サービスを手掛けるM&Aキャピタルパートナーズです。推計40歳年収は2739.3万円。2位を500万円以上離してぶっちぎりのトップです。
また、前回の2021年版に続いて2年連続の1位となりました。
M&Aキャピタルパートナーズは、月額固定給に加えて業績に連動する賞与(ボーナス)が年2回支給される給与体系となっています。
同社の有価証券報告書(21年9月期)をのぞいてみると、人件費の主な内訳は下記の通りです。
給料手当:6億3572.5万円(前期比31.7%増)
賞与:28億2278.1万円(前期比57.0%増)
法定福利費:1億9271.6万円(前期比34.3%増)
給料手当に対して賞与が4.4倍も支給されていることが分かります。そして、前期と比べて大幅に増加しています。
また、M&Aキャピタルパートナーズによると、在籍1年超のM&Aアドバイザーの平均年収は3594万円(21年度実績)にも上るといいます。
2位はキーエンス推計40歳年収は2208.0万円
2位は、推計40歳年収2208.0万円という数字をたたき出したキーエンスです。主に工場の自動化(ファクトリーオートメーション、FA)用機器の制御に使うセンサー機器を扱っています。
キーエンスのすごさを端的に表しているのは、その収益力の高さです。
事業規模を表す「売上高」は、7552億円(22年3月期、以下同)と、さほど目立ちません。ところが、本業の稼ぎを表す「営業利益」は4180億円で、売上高営業利益率は55.4%にも上ります。
キーエンスは営業利益率50%超えを8期連続で記録しており、この高収益率こそ高年収の源泉となっているのです。
キーエンスのOBで、元・商品企画担当の高杉康成氏(コンセプト・シナジー代表取締役)によると、このキーエンスの超高収益ビジネスモデルは、他社がまねできないといいます。
4位に伊藤忠、5位に三菱商事
キーエンスに次ぐ3位となったのは、不動産業を手掛けるヒューリック(1807.0万円)です。
同社は12年7月の昭栄との合併後、12年12月期から直近の21年12月期まで、営業利益・純利益のいずれも10期連続で増益を記録。過去最高益の更新を続けています。
それとリンクするように「40歳年収が高い会社ランキング」でも、順位・推計40歳年収共にほぼ右肩上がりを続けてきました。
17年 10位 1278.1万円
18年 5位 1416.2万円
19年 4位 1637.8万円
20年 2位 1761.6万円
21年 3位 1712.8万円
22年 3位 1807.0万円(今回)
一方、4~5位に目を移すと、高年収の代名詞である総合商社の2社がランクインしました。
4位 伊藤忠商事(1566.1万円)
5位 三菱商事(1541.7万円)
伊藤忠と三菱商事は近年、業界序列を決める純利益レースで熾烈な争いを繰り広げています。そしてそれは、この「40歳年収が高い会社ランキング」でも同様です。5年分の順位の推移を見てみると、そのことがよく分かります。
伊藤忠:6位→6位→5位→5位→4位(今回)
三菱商事:7位→5位→4位→4位→5位(今回)
今回は4年ぶりに伊藤忠が三菱商事を上回りましたが、次回の結果がどうなるかは予断を許しません。
40歳時点の推計年収をどのように算出したのか?
最後に、今回掲載したランキングの算出方法を解説したいと思います。
まず今回のデータは、「有価証券報告書」(有報)で公開されている提出会社の平均年間給与(年収)を基にしています。
ただし、この公開データは各社の従業員の平均年齢がばらばらであるため、本来は横並びで比較することができません。従業員の平均年齢が高いほど年収も高くなりがちだからです。
そこで、厚生労働省「賃金構造基本統計調査」(21年)を基に、10業種(建設、製造、情報・通信、運輸、商業〈小売り・卸売り〉、金融、サービス、電気・ガス、不動産、その他)の賃金カーブを多項式モデルによって作成。それを各社のデータに当てはめて、40歳時点の推計年収を求めました。
このようにして比較可能なデータとして整備してはいるものの、このデータにはやっかいな「癖」がいくつかあります。持ち株会社(ホールディングス)と事業会社が混じっていることです。
持ち株会社として上場している企業の中には、経営企画や人事系など、少数の幹部社員だけしか在籍していないところがあります。すると、その企業の実態よりも年収が高く出てしまう恐れが強いです。そうした「癖」の影響をなるべく排除するために、有報の提出会社のうち、従業員が100人未満の会社はランキングから除外しています。
一方で、公開年収が低い企業の中には、一般社員よりも年収が低い契約社員を含めている場合があります。他にも、定年退職者の雇用を積極的に進めている企業や、地方に本社を構える企業も年収が低くなる場合があります。
こうした事情を踏まえて、ランキングをご覧ください。参考までに決算期時点の各社の従業員数も掲載しています。
また、ランキング6位から1000位までの全1000社を網羅した『40歳年収が高い会社ランキング【トップ1000社・2022年完全版】』も、ぜひ併せてご覧ください。