「ふん便性大腸菌」をテーマに
海水浴場を格付け!

 4年ぶりに行動制限のない夏がやってきた。夏といえば海水浴。

そこでダイヤモンド・オンラインでは、7月31日配信の『水がきれいな海水浴場ランキング2023』を皮切りに、日本全国の海水浴場(川、湖沼の水浴場を含む。以下、海水浴場と表記する)に関するさまざまなランキング記事をお届けしている。

 今回は、水質判定基準として用いられている「ふん便性大腸菌群数」(個/100ml)に焦点を当てて、各地の水質を見ていく。ランキングの作成に当たっては、環境省が公表している日本全国の水浴場の水質調査結果を参照した。

 本題に入る前に、本稿で扱う指標である「ふん便性大腸菌群数」についての前提知識を解説しておく。

 大腸菌はヒトや動物のふん便由来のもの以外に、土壌や植物などから来るものもある。これらを識別し、より的確にふん便汚染を把握するために行うのが、ふん便性大腸菌群数の調査だ。

 環境省の水質格付けで最高位の「AA」を獲得するには、ふん便性大腸菌群が「100ml当たり2個未満」(複数回測定した平均値)のハードルをクリアしなければならない。同様に「A」は100個以下、「B」は400個以下、「C」は1000個以下、「不適」は1000個超となっている(同省はAAとAを「適」、BとCを「可」と位置付けている)。

 ダイヤモンド編集部による「ふん便性大腸菌」が多い海水浴場ランキングでは、水質格付けが「A~C」の海水浴場のうち、ふん便性大腸菌群数(個/100ml)の平均値が10個以上を対象とした。該当した海水浴場は83カ所。順位はふん便性大腸菌群数が多い順だが、個数が同じで水質の格付けが異なる場合は、格付けが低い海水浴場を上位とした。

 それでは、ランキングを見ていこう。

ランキングのワースト5位を
千葉県勢が独占

「ふん便性大腸菌」が多い海水浴場ランキング1位となったのは、千葉県鋸南町(きょなんまち)の海水浴場、勝山だった。ふん便性大腸菌群数は280個/100ml。水質格付けは「B」となっている。

 勝山は砂浜からの眺めが良く、天気の良い日は富士山が見えるというが、今回のランキングではワースト1位となった。

 ランキング2位は、千葉県九十九里町の海水浴場、真亀である。ふん便性大腸菌群数は220個/100ml。水質格付けは「B」となっている。

 首都圏からの交通の便が良く、江戸時代から地曳網(地引き網)漁業が続くなど、海水浴以外にも魅力のあるエリアだ。だが、残念ながら、ふん便性大腸菌群数では全国ワースト2位となってしまった。

 ランキング3位は、同じく千葉・九十九里の不動堂。ふん便性大腸菌群数は160個/100ml。

水質格付けは「B」である。

 この海水浴場は、九十九里有料道路の「不動堂インターチェンジ」近くにあり、こちらも交通の便が良いのが特徴だ。都心からも比較的遊びに行きやすいが、2022年のランキングではふん便性大腸菌群数が26個/100ml(43位)だったにもかかわらず、大きく順位が跳ね上がってしまった。

 これらの他にも、4位は大貫中央(千葉県富津市、130個/100ml)、5位は白子(千葉県白子町、120個/100ml)が入り、ワースト5を千葉県の海水浴場が“独占”する結果となった。

 さらにワースト10においても千葉県の海水浴場が大半で、千葉県以外の海水浴場では、熱川YOU湯ビーチ(静岡県東伊豆町、110個/100ml)と新設鰺ヶ沢(あじがさわ、青森県鰺ヶ沢町、110個/100ml)が、同率6位でランクインしたのみだった。

 なお、ランキング完全版には一部、海に面していない自治体の「川や湖沼の水浴場」も含まれている。埼玉県、群馬県、長野県、奈良県などの水浴場はランクインしたのか――。海のない自治体に住む人も、ぜひチェックしてみてほしい。

(ダイヤモンド編集部 清水理裕、濵口翔太郎)

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