1位は日本ペイントHD
平均年収は1072.4万円

 今回は、上場企業の有価証券報告書に記載された平均年収のデータを使って、「年収が高い化学メーカーランキング2023最新版」を作成した。対象は上場企業で、単体の従業員数が50人未満の会社は除外している。

対象期間は2022年5月期~23年4月期。

 早速、ランキングを確認していこう。

 1位は日本ペイントホールディングスで、平均年収は1072.4万円(従業員数51人、平均年齢41.1歳)だった。自動車用を筆頭とした工業用塗料の総合メーカーで、広くグローバル展開し世界シェアも高い。連結子会社が多く、連結従業員数は3万4393人(23年12月期)に上る。

 なお、同様の意図でランキングした22年版では、同社は4位で平均年収は898.0万円(従業員数404人、平均年齢43.6歳)だった。従業員数が大幅に減少しているのは、22年1月の会社分割により、上場機能および純粋持ち株会社機能に関する事業以外の全ての事業を、子会社の日本ペイントコーポレートソリューションズが承継し、従業員が転籍したことに伴うものである。

 22年12月期の業績(連結)は、売上収益1兆3090億円(前期比31.1%増)、営業利益1118億円(同27.7%増)、最終利益794億円(同17.5%増)と好調だった。

 なお、化学メーカーは連結子会社を多く有している企業が多く、持ち株会社が上位に入りやすい傾向がある。そのため、持ち株会社の傘下には多くの連結子会社などがあり、それら企業の平均年収とは異なることを留意してほしい。

 2位は三菱ケミカルグループで、平均年収は1045.4万円(従業員数430人、平均年齢46.5歳)。素材から機能商品まで多種多様な製品を手がけている総合化学メーカーだ。

同社も連結子会社が多く、連結従業員数は6万8639人(23年3月期)に上る。

 3位は、富士フイルムホールディングスで、平均年収は1032.7万円(従業員数811人、平均年齢46.8歳)だった。

 祖業である写真フィルムで培ってきた技術を生かし、現在は、内視鏡や医療ITなどを手がける「ヘルスケア」、高機能材料を扱う「マテリアルズ」、複合機などを扱う「ビジネスイノベーション」、カメラなどを手がける「イメージング」の4領域で幅広く事業展開している。

 4位は日本酸素ホールディングスで、平均年収は976.5万円(従業員数88人、平均年齢44.2歳)だった。産業ガスの製造・供給をグローバル展開するほか、国内では病院・在宅医療に欠かせない医療用ガスの供給や、ステンレス魔法瓶のサーモス事業などを手がけている。

 5位は、積水化学工業で、平均年収は913.0万円(従業員数2818人、平均年齢43.9歳)だった。新築住宅事業やリフォーム事業など住宅関連の事業を主力とするほか、インフラ材料向け機能樹脂など高機能プラスチックス事業なども展開している。

 ランキングの完全版では、6~190位の企業を一挙に公開する。トップ5に入らなった財閥系メーカーである住友化学や三井化学のほか、高収益な優良企業で知られる信越化学工業、資生堂やユニ・チャーム、花王、ライオン、コーセーといった日用品・化粧品の大手企業、そして「紅麹サプリ」問題で創業家トップが引責辞任した小林製薬など、注目の企業が多数ランクインしているので、チェックしてみてほしい。

(ダイヤモンド編集部 柳澤里佳)

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