夏真っ盛り!今年は海へ遊びに行こうという人も多いだろう。せっかく訪れるならば、きれいな海がいい。
トップ10に静岡、東京が4カ所ランクイン
海水浴シーズンに合わせて、環境省は、全国の海水浴場(川、湖沼の水浴場を含む。以下、海水浴場と表記する)の水質調査を行っている。そのデータを基に、ダイヤモンド編集部が独自に「水質の格付け」を実施した。
「水がきれいな海水浴場ランキング」の対象は、水質格付けが最高位の「AA」だった429カ所の海水浴場で、水の汚れを示す化学的酸素要求量(COD)が低い(=きれいな)順に海水浴場をランキングした。なお、格付けは5段階で、適(AA、A)、可(B、C)、不適の5種類で格付けされている(詳細は、ランキングの最後に付けた注を参照)。
前述の通り、ランキングの中には一部、川、湖沼の水浴場も含まれているので、海のない自治体に住む人もぜひチェックしてみてほしい。
CODが0.5mg/リットル未満で、栄えある1位となったのは8カ所あった。静岡県が4カ所、東京都が3カ所、秋田県が1カ所だ。
まず、静岡県の4カ所の海水浴場について見てみよう。いずれも沼津市の大瀬、島郷、井田、平沢(らららサンビーチ)で、駿河湾に面しているのが共通の特徴だ。
駿河湾は水質がきれいになる要因が複数重なっている。水深が深く、流れ込む富士山由来の河川の水質がきれいな上、湾ではあるものの外洋に対して開けていて、水がよどまないことなどが有利に働いているという。
同じく1位には東京都の海水浴場が3カ所続く。八丈町の底土(そこど)は、都心からは約290キロ南に位置する八丈島にある。八丈島のビーチは岩場が多いが、ここは島内唯一の人工砂浜で、毎年夏季シーズンには多くの人が訪れるという。
小笠原村の大村海岸と、三宅村の大久保浜もランクインした。大久保浜は火山の島である三宅島にあるため、黒い砂浜が特徴的な海水浴場だ。全長2キロもあり、ビーチ沿いにはキャンプ場もあり人気を集めている。
一方、1位にはトップ10で唯一、湖沼もランクインした。秋田県仙北市の田沢湖だ。田沢湖はほぼ円形のカルデラ湖で、最大水深が423.4メートルと日本で最も深い湖として知られる。その深さゆえ、水質が良いと考えられる。
1位の8カ所に次いで9位(CODが0.5mg/リットル)にランクインしたのは、宮崎県串間市にある高松だ。宮崎県最南端の海水浴場であり、沖に無人島(ヨゴセ島)があるため波の影響を受けにくく、穏やかで遠浅なのが特徴。地元の観光協会によると、「静かな海はSUPにも最適」とのこと。
10位には東北の海水浴場がランクイン意外と少ない?沖縄県は2カ所のみ
続く10位(CODが0.6mg/リットル)は6カ所あった。高松と同じ宮崎県にあるのが須美江(延岡市)、栄松(日南市)だ。そして、東京都の離島、新島村の本村前浜もランクインした。本村前浜は、東京から約160キロ離れた人口2500人の新島にある人気ビーチだ。白い砂浜が特徴で、ファミリー層にも人気だという。
10位には東北の海水浴場もランクインした。岩手県陸前高田市の広田だ。広田海水浴場は、県内でも屈指の透明度を誇る、「知る人ぞ知る海水浴場」だという。遊泳期間は8月18日までなので、気になる人は早めに足を運んでみよう。
きれいなビーチが多いイメージのある沖縄県は、2カ所のみだった。名護市のブセナビーチと、石垣市のフサキビーチだ。いずれもビーチに面した大型リゾートホテルが人気で、訪日外国人観光客(インバウンド)にも知られている。
今回のランキングのトップ10に入る要因として、基本的に、海流で水が入れ替わる離島周辺や、人口が少なく生活排水などが混ざりにくい場所にある海が、きれいな水質を保ちやすいといえるだろう。
最後に、海や川のレジャーには注意も必要だ。警察庁のデータによると、23年には1392件・1667人の水難事故が発生した。その約半数の743人が死亡・行方不明になっている。水の事故は、命に関わる重大な事態になりかねないということを覚えておこう。
(ダイヤモンド編集部 清水理裕、柳澤里佳)