円安の影響もあり、国内旅行への注目度はこれまで以上に高まっている。年末年始の休暇や春以降の旅行計画を立てる際に、「今年はどの地域に行こうか」と悩んでいる人は多いのではないだろうか。
では、今国内でもっとも「旅行で訪れたい」と思われている地域はどこなのか。
今回紹介する「都道府県『観光意欲度』ランキング」のベースとなるのは、全国1000の市区町村及び47都道府県の計1047地域を調査対象に、全国の消費者3万3449人の有効回答を得て集計した「地域ブランド調査2025」(※)だ。各地域に対して、認知度や魅力度、イメージなど全90項目からなる調査を行い、今年で実施は20回目(都道府県の設問は17回目)となる。
その中で「観光意欲度」は、「今後、観光や旅行などで以下の都道府県に行きたいと思いますか?」という問いに対して、「ぜひ行ってみたい」を100点、「機会があれば行ってみたい」を50点、「どちらもいえない」「あまり行きたいとは思わない」を0点として、加重平均した数値を算出した。
(※)調査を行ったのはブランド総合研究所。インターネット調査であり、調査期間は、2025年6月24日~7月9日。
まずは、上位のランキングを見てみよう。
トップは17年連続の北海道
ポイントが伸び悩んだ理由は?
2025年の「都道府県観光意欲度ランキング」1位は、今年も北海道(68.7点)だった。17年連続の首位となったものの、得点は前年より2.2ポイント低下している。
ブランド総合研究所の田中章雄社長は、「札幌市や函館市ではインバウンドの急増により、宿泊費が上昇し、SNSでも『宿が取れない』という投稿が増えている。人気が高いからこそ『行きたいのに行きづらい』状態となり、ポイントが伸び悩んだ可能性がある」と分析する。
注目が集まるきっかけを
どれだけ継続的に作っているか
今年のランキングの傾向を見ると、順位を押し上げた県には、共通して「地域に注目が集まる新しいきっかけ」が存在していた。新施設開業やドラマの舞台、SNSでの写真拡散――。このような要因が、観光意欲度を大きく動かしている。
田中社長は、「従来からある名所や食の魅力だけでなく、地域への関心が高まるきっかけを、どれだけ継続的につくれるかが、今後ますます重要になる。何もしなければ、観光意欲度は少しずつ下がっていく。だからこそ、新しい策略を打ち出している地域が順位の上昇につながっている」と話す。
旅行ニーズが回復しつつある今、私たちもランキングを「人気投票」として眺めるだけでなく、「なぜその地域に行きたくなるのか」「どんな取り組みが行われているのか」に目を向けてみたい。地域の努力や工夫を知ることで、旅先での過ごし方や楽しみ方も、きっと変わってくるはずだ。
(フリーライター 西嶋治美)

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