ホンダがさいたま市とタッグを組んで超小型モビリティの実証実験を開始する。超小型モビリティとは、自動車よりコンパクトで1~2人用程度の車両のこと。
ホンダは、熊本県、沖縄県宮古島市とも包括協定を締結したばかりで、さいたま市を加えた三つの自治体と共同で実験をスタートさせる。今秋より順次、実験車が公道でお披露目される予定だ。

 日産自動車、トヨタ自動車グループに続き、ホンダの参入で自動車大手3社が超小型モビリティ市場の土俵に出そろった。ヤマハ発動機やスズキも参入を検討しており、新しいモビリティの登場に、各社が大きな期待を寄せている。

 ところが、である。まだ実験段階にもかかわらず、早くも普及を阻む問題が持ち上がっている。このままでは、超小型モビリティが国内市場でしか通用しない“ガラパゴス乗り物”になってしまう、というものだ。

 ネックは規格である。国土交通省が示したガイドラインでは、超小型モビリティ(すでに公道を走っている原動機付き自転車等を除く)は、規格が新設されるのではなく、既存の軽自動車規格の範疇で定義づけられることになった。具体的には、全長、全幅、全高の「サイズ」や「定格出力(指定条件下で安全に達成できる最大出力)」「乗車定員」が要件になっている。

 言わずもがなだが、軽自動車は日本独自の規格である。軽自動車カテゴリーにさらに要件が加えられた超小型モビリティのガラパゴス化は避けられない。

先行する欧州規格「L7」

 そうした国交省方針に対して、「将来のグローバル展開を視野に入れるならば、超小型モビリティ先進国である欧州規格とそろえるべき」(自動車メーカー幹部)という批判の声が上がっている。

 どういうことか。すでに、超小型モビリティの市場投入が進んでいる欧州には、「L7」と呼ばれる車両区分がある。L7とは、欧州の二輪カテゴリーの一つで、電気自動車(EV)の場合は重量400キログラム以下、出力15キロワット以下という要件があり、国交省ガイドラインとは異なる。二輪カテゴリーでありながら、四輪の小型EVはこの区分に含まれる。例えば、日産の超小型モビリティ「ニュー・モビリティ・コンセプト」とうり二つの仏ルノー製「トゥイジー」もL7カテゴリーだ。

 国交省は、日本独自規格という“メンツ”にこだわるよりも、すでにある欧州規格に準じて海外販売を加速するという“実利”を取ったほうが得策ではないのか。

 2016年3月に終了する実証実験の結果を踏まえて、国交省ガイドラインは修正が加えられ、超小型モビリティの規格が正式決定する。だが、「日本でしか行っていない実証実験の結果から、欧州規格に寄せたほうがよいという結果を導くのは難しい」(ホンダ幹部)というのが実情だ。

 超小型モビリティは、日系メーカーが世界の覇権を握れる可能性を秘めた新カテゴリーだ。それだけに、いかにして“ガラパゴス化”を避けるべきか、官民を挙げて知恵を絞る必要がある。

 (「週刊ダイヤモンド」編集部 浅島亮子)

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