今回で3度目の延期である。客室乗務員がミニスカート制服を着て搭乗することで話題となった、スカイマークの羽田~福岡路線。

 当初は、就航を3月25日としていたが、4月18日、5月31日と合わせて3度、延期した。今度は、6月14日の商業初飛行を目指している。

 今回の路線に導入するのは、欧エアバス社製のA330-300型機。通常より座席の前後幅が10センチメートル広い“グリーンシート”を売りにしている。

 度重なる延期で商業運航が実現しないのは、準備不足で安全運航を満たす基準に達しておらず、国土交通省からの認可が下りないためである。

 新機材の導入は、スカイマークが思っていた以上にハードルが高かったようだ。

 スカイマークは、これまで米ボーイング社製の機材しか運航した経験がない。メーカーごとに整備方式が異なるため、「規定集を根本から作り替えなければならなかった」(スカイマーク関係者)。

 また、スカイマークはA330の運航では、寄航地(今回は福岡)に整備士を置かない。このため、乗務員に別途、特殊な訓練が必要になり、準備に時間を要した。

 機長の人数も足りていない。A330を2機運航するためには、通常10人は必要とされるが、5月20日時点で5~6人しか確保できていない。

スカイマークでは、「6月頭には10人になる予定」としている。

 不運も重なった。4月29日のテストフライトでは、部品の不具合で、燃料漏れが確認される事態となった。

超大型旅客機が追い打ち

 目下、スカイマークの業績は急降下している。2013年度は、25億円の営業赤字に終わった。

 そして、新たに導入したA330、2機のリース料の支払いが始まっている。A330のリース料はボーイング737の約2倍と高額だ。一方、商業運航していないため、収入は全く入ってこない。

 しかも、書き入れ時のゴールデンウイークを逃してしまった。収益を改善するには、A330の一日も早い商業運航が欠かせない。

 14年度、スカイマークの資金繰りはさらに苦しくなる。

 国内線に投入するA330に加えて、国際線に世界最大の旅客機A380を導入するためだ。

14年度は、A380関連で400億円もの支払いを迫られる。

 現在、スカイマークは、欧州でECA(輸出信用機関)の保証付きの借り入れを検討している。だが、万が一、借り入れができないと、経営の危機にひんすることにもなりかねない。

 市場関係者の話によると、すでにANAホールディングスや日本航空、米デルタ航空が、スカイマークへの出資に関心を示しているという。

 国土交通省関係者はこう指摘する。「客室乗務員の制服なんかに心血を注いでいる場合じゃない。航空会社が本来やるべき、運航体制の確立にこそ、本腰を入れて取り組むべきだ」。もっともである。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 須賀彩子)

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