医療・製薬関連をはじめとする研究機関向けに、特にメンタル不調や精神疾患専用の医療データ分析SaaS「SelfBase(セルフベース)」を提供する株式会社テックドクターは、ウェアラブルデバイスであるFitbitから取得したデータを分析し、ストレスや睡眠に関するスコアを可視化する取り組みを開始したと発表した。また、本取り組みが社員の健康意識の向上と行動変容を促すことを確認し、外部の企業でも活用可能なフォーマットを作成・公開した。

■本取り組みの目的

リモートワークが常態化し、医療を取り巻く環境も変化している中で、社員や従業員が日常における自分の状態に関して把握することが、重要になってくると考えられるという。特に、日々の生活におけるストレスは、人によっては自分では気がつくのが難しいこともあり、SelfBaseの解析システムを活用して様々なメトリクスによる解析を行い、行動変容につながるストレスの状態の可視化を行った。本取り組みでは、自分自身の脈拍/睡眠/運動データから様々な解析を行ったデータを自分で見ることによって、行動変容がおこっているのかを定量化し評価しデータによる見守りの効果を確認することを目的としているとのことだ。

■本取り組みの概要

1.TechDoctorではウェアラブルデバイスであるFitbitから脈拍/睡眠/運動データを取得して毎週平日にそれぞれのスコアを可視化させる社内検証を2021年4月から開始
2.社内検証では被験者15名をランキング形式で比較を行い毎週ランキングの変動を見ながら自分の健康意識の向上を図った
3.5月より各曜日ごとに同じランキングを毎週出しそれぞれを毎日「面白い/役立つ/わかりやすい」の3項目をそれぞれ5点満点で採点

■検証概要

【参加人数】15名(男性13名 女性2名)
【期間】2021年4月1日~現在継続中
【内容】
ウェアラブルデバイスfitbitより取得したデータを用いて数値の可視化
可視化されたものを参加者が3つの観点から評価の実施し見やすいデザインの発見
【データ】
運動データ:歩数/消費カロリー/各種運動時間
睡眠データ:睡眠時間/入眠・起床時間/各種睡眠ステージ割合/睡眠効率
脈拍データ:安静時心拍数(脈拍から推測)/時間ごとの脈拍数 / 独自に算出した指数等

■ 「ストレス状態の見える化」検証結果

概要に沿って、約1ヶ月半、本人同意を得た15名を対象にFitbitを配布し取組みを行った。取組みは4月上旬に開始し、fitbitから取得できるデータをAPIを通じて認証を行い取得し解析。解析用プロダクトSelfBaseを活用して、取得したデータから様々な本人へのフィードバックをSlack上にて実施した。フィードバックは以下のような「自分の状態を知る」ことができる内容をカード形式でまとめて平日昼頃に毎日伝える形で行われた。
ウェアラブルデバイス「Fitbit」のデータを分析し「社員の...の画像はこちら >>

via プレスリリースまた、Fitbitから取得できる脈拍データを用いて副交感神経の優位度を算出しストレスフリー度として時系列における自分の変化をカードとして表示するなど工夫を行い、その都度、それに対しての参加者側の反応数なども定量化。「時間帯ごとで自分がいつストレスを感じやすいか」「他の参加者と比較した時に自分の特徴がどこにあるか」などのフィードバック内容や見せ方でも反応の評価を行った。
(ストレスフリー度とは相対的な副交感神経の優位度合い。数値が高くなるほどストレスなく過ごすことができていることを表しており、低いほどストレスが高い状態であることを示す。)
ウェアラブルデバイス「Fitbit」のデータを分析し「社員のストレス状態」を見える化する取り組みが開始

via プレスリリースストレス関連レポートを中心に、睡眠や運動などのレポートも曜日ごとに配信した。

■行動変容の事例

以下は参加者の一人である同社社員のストレスフリーランキングの5月の推移を示しており、この取組を通じて改善が行われたことが確認できたという。最初の1,2週間目では10位と社内15人の中でも下の方であったが3,4週目には3,2位と改善されたとのことだ。
ウェアラブルデバイス「Fitbit」のデータを分析し「社員のストレス状態」を見える化する取り組みが開始

via プレスリリースAさんが意識したことは以下の通り。
・朝に脈拍数を高めるとその日1日負荷がかかってしまうので朝に行っていたランニングを夕方にした
・寝る時間をそろえることで睡眠時間のばらつきを無くすことを意識した
・意識的にミーティングとミーティングの間を開けて連続したミーティングを避けた
今回紹介したストレスフリー度以外にも様々なランキングやFitbitアプリに表示されているデータを見ながら自分の習慣を見直してランキングを向上させることに成功したと考えられるという。

また、取り組みを行ったチーム内では、睡眠や運動などに関して意見がかわされ、互いにアドバイスをするなどコミュニケーションにおける健康に関しての話題も増え、健康意識の高まりが確認できたとのことだ。