【画像】進化を実感!クロスクライメート2で雪道とドライ・ウエット路面を実走チェックした
2019年2月、「雪でも走れる夏タイヤ」のキャッチコピーで登場したミシュランのオールシーズンタイヤ「クロスクライメート」シリーズが、早くもモデルチェンジ。シリーズ中、コンパクトカーやセダン、ミニバン、SUV向けに幅広くサイズをラインアップする「クロスクライメート+」の後継として新たに「クロスクライメート2」が登場する。
従来型の発売からわずか2年でのニューモデルの登場には理由がある。クロスクライメートは欧州では一足早く発売されていた。だが、日本ではスタッドレスタイヤが浸透していることもあり、オールシーズンタイヤであるクロスクライメートの発売タイミングを見計らっていたのだ。発売してみれば2019年、2020年ともに好評を博したことから、新型となるクロスクライメート2は欧州と同じタイミングで発表となったのだ。
全方位で性能向上を果たした
クロスクライメート2の特徴は全方位での性能アップ。ミシュランによれば、①ドライ・ウエット性能向上、②より進化した雪上性能、③夏冬ともに性能が長く続く、となっている。
新開発のコンパウンドはサーマル・アダプティブ・コンパウンドと名付けられており、ドライ、ウエット、雪上と変わる路面に幅広く対応するものとなっている。
トレッドデザインは、一見キャリーオーバーのように見えるが、新Vシェイプトレッドパターンが採用されている。
V字のトレッドブロックは、エッジの面取り加工(Vランプエッジ)が施されており、ブロックの倒れ込みを防いでドライ路面での高い制動力を発揮するほか、ブロックに刻まれたサイプ(LEVサイプ)によってブロックの剛性バランスを整えており、夏の路面でも冬の路面でも効果的なグリップ性能が発揮できるよう設計されている。
またこのサイプは耐摩耗性の向上や転がり抵抗の低減にも寄与している。さらに、タイヤがある程度摩耗すると、ブロック側面に設けられた凹凸が露出し、排水排雪性を高めるとともにエッジ効果によって雪上性能を高める働きをする。
雪上グリップ性能向上が実感できる
実際に試乗して驚いたのは、雪上グリップ性能が従来型より明らかに1ランク高くなっていることだ。圧雪のテストコースを走り出した瞬間からトラクションの違いを感じられる。雪を捉えてクルマがぐいぐい前に出るのが実感できる。ハンドルを切り出せば、切り始めたところからしっかり応答が出て、そのままハンドルを切り足していっても、グリップがしっかりついてきてくれる。
ちょっと大げさに言うと、スノータイヤ並みにグリップしてくれるのだ。
雪道でのブレーキングでは、意識的にABSを利かせないように強めのブレーキをかけると、ちゃんとABS作動寸前付近でコントロールできるのだ。これはある程度グリップ性能が出ている証拠である。
またスラロームも試してみたが、ハンドルを切り出した時の手応えのよさ、パイロンをクリアするときの横方向の踏ん張り、アクセルを踏んだ時の安定感といったところに従来型との差をはっきりと感じることができた。
冬道でも安心できるグリップ感
一般道で試して感心したのが、圧雪路面でクルマがピシッと真っ直ぐ走ってくれるところ。これも雪でのグリップ性能のよさの表れ。滑りやすい圧雪路では、路面の小さなわだちやアンジュレーション(起伏)を受けてクルマが左右に動き(滑り)たがるのだが、これをグリップ性能で抑え込んでいるというわけ。
スタッドレスタイヤほどしたたかに雪道を捉える感じはないけれど、突然グリップが抜けてしまうような不安感を感じることなく、安心して走ることができたのに驚かされた。
冬道もいいのに夏道もイイ
そうなると気になるのがドライ性能だ。これだけ雪性能がいいということは、コンパウンドでもだいぶ雪の性能を高めているのだろうと思う。となるとドライ路面での操縦安定性はどうなるのだろう。
という疑問を抱きながらテストコースでのドライ路面の試乗会に参加してみると、これがドライ路面でもしっかり走ってくれるのだ。
うんと厳しい目で見ると、従来型と比べてわずかにコンパウンドの柔らかさの違いを感じる。路面のあたりの硬さ感とか、カーブに向けてハンドルを切り出した時のねじれ感に違いがある。ただ、それは例えばサマータイヤのスタンダードタイヤがメーカーごとに若干硬さが違う、といったレベルのもの。
おそらくV字トレッドデザインの角度が狭くなったことが大きな要因なのだろうと思うが、操舵時に握りこぶし1個以下の領域の手応えが明確になっている。また、同様の操舵領域での応答がよくなっているので、クルマの向きが変わりやすいのだ。グリップでグイグイ曲げていくというよりも初期の応答のよさでクルマがスイッと曲がり出してくれる感じだ。タイヤの素性として、素直に曲がるように仕上げられているので、ゴムのソフトな感じやゆがむ感じが表に現れない。
ハンドリングも制動性も乗り心地も不満なし
ハンドリングコースを低めのスピードでスリップアングルを少なめに走らせても、速めに走ってスリップアングルを大きめに走らせてもクルマの基本的な動きが変わらない。つまり、タイヤに負担をかける領域になったときも、トレッドブロックのヨレが激しくなったりしないのだ。コンパウンドの硬度とトレッドデザインの剛性バランスが上手に取れている、と感じた。
ウエットブレーキ性能を比べてみると、従来型と新型はピタリと同じ制動距離を示した。ウエットグリップ性能は全く犠牲になっておらず、それどころか高速巡航での乗り味のよさや、レーンチェンジなどがしっとりとしており、より上質な乗り味に仕上がっていた。
ちょっとびっくりするくらい雪性能が進化しているのに、サマータイヤ性能に置いた軸足にブレがないことが分かった。
〈文=斎藤 聡〉
クロスクライメート2は61サイズをラインアップ
クロスクライメート2は、クロスクライメート+の後継として全61サイズをラインアップ。タイヤ幅は175~275で偏平率は35~65。
価格はいずれもオープン。
[サイズラインアップ]
・20インチ…1サイズ
・19インチ…10サイズ
・18インチ…11サイズ
・17インチ…16サイズ
・16インチ…16サイズ
・15インチ…7サイズ
日本ミシュランタイヤ
https://www.michelin.co.jp