自動車雑誌ドライバーが過去に取り上げた記事が今に蘇る「DRアーカイブズ」。前回に続き、1989年1-20号の「NEW MODEL速報 日産ローレル」を振り返る。


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NEWローレルは、自然な操舵感覚のFRを踏襲。サスペンションはフロントにストラット、リヤに、今や日産FR車の“主流”マルチリンクの組み合わせ。エンジンはオーバー200馬力のRB20DETを筆頭に、直6ディーゼルRD28まで5機種をラインアップ。

■5種のエンジンを搭載したメカニズム

NEWローレルの魅力を一言で表現するなら、伝統のなかの革新。すべてにわたりオーソドックスな手慣れた手法を踏襲しながら、新しい乗り味を提供しようという姿勢はメカニズム面でもはっきり読みとれる。

5種類のエンジンを搭載…日産ローレル登場の記憶[driver1989年1-20号より]

●RB20DET

エンジンは、RB20系がセフィーロと同じツインカム24バルブ・インタークーラーターボのRB20DET(205ps/6400rpm、27.0kgm/3200rpm)、ツインカム24バルブのRB20DE(155ps/6400rpm、18.8kgm/5200rpm)、それにインジェクション仕様OHCのRB20E(125ps/5600rpm、17.5kgm/4400rpm)。パワートルクはセフィーロ用と同一だ。

5種類のエンジンを搭載…日産ローレル登場の記憶[driver1989年1-20号より]

●RB20DE

1.8L OHCのCA18iは、シングルインジェクター方式のエレクトロインジェクション仕様の直4ユニット。ローレル搭載にあたってシリンダーブロックの強化、サーマルフロータイプピストンの採用、吸気軽量システムの改良などを実施。性能は91ps/5200rpm、14.5kgm/3200rpmで、実用域でのドライバビリティと燃費をバランスさせている。

5種類のエンジンを搭載…日産ローレル登場の記憶[driver1989年1-20号より]

●RB20E

ディーゼルのRD28は、直6のスムーズさとディーゼルならではの経済性を両立させたエンジン。燃焼効率を高めてパワー、トルク特性と静粛性を向上させる副噴射口付きハイスワール燃焼室や、燃料噴射時期を最適制御するサーボバルブタイマーを採用、94ps/4800rpm、18.0kgm/2400rpmの性能を発揮する。


5種類のエンジンを搭載…日産ローレル登場の記憶[driver1989年1-20号より]

●CA18i

このエンジンと組み合わせられるミッションは、5速MTがRB20DETを除く全車に、ATはRB20系にホールドモード付きE-ATが、CA18iとRD28には4速ロックアップATが設定されている。E-ATはセフィーロ用と同一で、エンジンとATを総合制御するDUET-EAも搭載。MTは、すばやいシフトを可能にするダブルコーンシンクロをRB20系の2、3速に、CA18iとRD28の2速に採用している。

5種類のエンジンを搭載…日産ローレル登場の記憶[driver1989年1-20号より]

●RD28

駆動系では、RB20DET搭載車とRB20DE搭載のクラブSに、リヤビスカスLSDを装着。滑りやすい路面でのスムーズな発進や穏やかな挙動を実現している。

■セフィーロゆずりの足まわり

サスペンションは、シルビア、セフィーロに採用されているのと同じフロントがストラット、リヤがマルチリンク方式。その優れた直進性と操縦安定性は定評のあるところ。ローレルでもハイレベルのフットワークを見せるはずだ。 

さらに、スポーティグレードのクラブSには、走行安定性と操縦性を高めるHICAS-Ⅱが、クラブLにはスーパーソニックサスペンションと車速感応式電子制御パワーステアリングを組み合わせたDUET-SSが標準装備される。

ブレーキは、フロントが全車ベンチレーテッドディスク、リヤはRB20DET搭載車がベンチレーテッドディスク、RB20DEおよびRB20E搭載車がソリッドディスク、CA18iとRD28搭載車がL&Tを装着。さらに上級グレードには、4輪アンチスキッドブレーキ4WASが標準またはオプション設定されている。

タイヤは、RB20DET搭載車とクラブSが205/60R15、RB20系のメダリストが195/65R15を装着。
アルミホイールは、クラブSに専用タイプ(6JJ)が標準装備されている。

以上のような、セフィーロ譲りの高信頼度メカニズムを採用するローレルは、性能発揮のためのベースとなるボディもしっかり固められている。ボディはセンターピラーレス構造だが、構造の合理化、高張力鋼板の拡大採用、板厚の最適化などにより、従来型に比べてねじれ剛性で約25%向上、同時に36kgの軽量化と、高い静粛性も達成している。

最初に書いたとおり、「伝統のなかの革新」を目指したNEWローレル。スポーティな味わいを持つだけに、どのような走りを披露するか試乗が楽しみだ。

■スーパーファインコーティングの特長

スーパーファインコーティング(フッ素樹脂塗装)は、1988年2月発売のローレル20周年記念限定車に世界で初めて採用されたもの。NEWローレルでは、メダリストクラブL&Sに標準採用。この塗装は、従来の塗装表面にフッ素樹脂クリアを焼き付け塗装したもの。水洗いだけでワックスがけと同程度の光沢が得られるなどの効果があるという。

5種類のエンジンを搭載…日産ローレル登場の記憶[driver1989年1-20号より]

●フッ素樹脂塗装は水滴の接触角が大きく、撥水性が高い

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●従来の塗装

■オシャレ心に満ちた装備類

NEWローレルの装備品には、オシャレ心があふれている。しかも、機能的で操作性にすぐれ、人にやさしい。インテリアには「本物へのこだわり」から、構成部品のひとつひとつに吟味した素材を使用。
上質でソフトな雰囲気に満ちている。

5種類のエンジンを搭載…日産ローレル登場の記憶[driver1989年1-20号より]

●トランクリッドのキーホールにもローレル(月桂樹)をアレンジ

5種類のエンジンを搭載…日産ローレル登場の記憶[driver1989年1-20号より]

●「本物へのこだわり」から、パーキングブレーキレバー(MT車)も本革巻き

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●本木目クラスター。きれいにそろった木目模様のローズウッドが美しい

5種類のエンジンを搭載…日産ローレル登場の記憶[driver1989年1-20号より]

●エンブレムが刻まれたメインキー。オシャレ心がすみずみにうかがえる

5種類のエンジンを搭載…日産ローレル登場の記憶[driver1989年1-20号より]

●本革巻きステアリングは、ツインカムターボ車とクラブS全車に標準装備

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●ホワイトベージュの本革シート(メダリストクラブLに標準装備)

5種類のエンジンを搭載…日産ローレル登場の記憶[driver1989年1-20号より]

●自動防眩タイプのルームミラーとドアミラーはオプション

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●電動格納式カラードドアミラーは、メダリスト全車とCA18iグランドサルーンに標準

5種類のエンジンを搭載…日産ローレル登場の記憶[driver1989年1-20号より]

●リヤウインドー用サンシェードは、意外に役に立ちそう。ディーラーオプション

5種類のエンジンを搭載…日産ローレル登場の記憶[driver1989年1-20号より]

●ダンパー付きグローブボックス。ゆっくり、なめらかにオープン

5種類のエンジンを搭載…日産ローレル登場の記憶[driver1989年1-20号より]

●約50~100km/h間で希望車速がセットできるオートスピードコントロール

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●プッシュオープン式センターボックス。内部のカップホルダーが便利モノ

〈まとめ=ドライバーWeb編集部〉
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