可搬式オービスの、都道府県別の最新データをゲットした!
・整備状況(整備数) 2022年度中
・運用状況(撮影枚数) 2022年中
それぞれの一覧表を、情報公開法に定められた手続きを踏み、収入印紙で手数料を支払い、請求から開示まで1カ月ほどかけ、ようやくゲットした。
念のため言っておくと、可搬式はネットではよく「移動式」と呼ばれる。
■全国の可搬式、117台から132台へ15台増加
【画像】都道府県別「可搬式オービス」のデータ
上記データの「合計」について、過去分をふり返ってみよう。「+」とあるのは前年比だ。
2019年度中 60台
2020年度中 99台 +39台
2021年度中 117台 +18台
2022年度中 132台 +15台
可搬式は従来の速度取り締まりと違って場所の制約がなく神出鬼没、とテレビ・新聞がいつも報じる。そんなに素晴らしいならもっと増えてよさそうなのに、どうも伸びが鈍い。18県が1台のみだ。
この一覧表で注目すべきは新潟だ。新潟は2021年度中、全国で唯一0台だった。
じつは新潟は、2020年度の予算で可搬式1台(金額からして東京航空計器製)を購入予定だった。が、なんと直前になって取り消した。警察の予算を取り消すなど前代未聞、「戦後初」と報じられた。そして2022年度、可搬式を1台購入した。なんとなんと、東京航空計器(TKK)ではなく、日本で初めて日本無線(JRC)の可搬式を購入したのである。統計の数字は普通に「1」だが、マニア的にはしびれる「1」なのだ。
■可搬式の取り締まり、SGGの千葉がまたトップ!
次に「撮影枚数」である。撮影枚数=取り締まり件数だと警察庁はいう。ちょっと首をひねりたくなるが、とりあえずそのとおりに聞いて話を進めよう。
これもまずは一覧表をご覧いただきたい。バラつきが非常に大きい。
撮影枚数の合計についても、過去のデータをふり返ってみよう。
2019年中 5069枚
2020年中 1万1568枚 +6499枚
2021年中 2万6508件 +1万4940枚
2022年中 3万1555件 +5047枚
都道府県別に見ると、2022年は24都道県が増加し、23府県が減少している。撮影枚数も増加数も全国トップは、前年と同じく千葉だ。5316枚から8273枚へ、2957枚も増えた。2022年の増加数の全国合計の、なんと6割近くを千葉が占める!
千葉の整備数は10台だ。多い。でもいちばん多いのは警視庁(東京)の11台。東京は2263枚から2861枚へ、598枚増えただけ。撮影枚数も増加数も、千葉とは比べものにならないほど少ない。
いったいどうなっているのか。じつは、東京の可搬式はすべてTKK製、千葉のはSensys Gatso Group(SGG)製なんだね。SGGはスウェーデンに本社を置く世界的企業だ。可搬式を10年ほどウォッチしてきた私にはこんな構図が見える。
・SGG製=高性能。
・TKK製=性能的に問題あり。しかし警察庁がゴリ押し。
2022年度末時点で可搬式は全国に132台。その8、9割ほどはTKK製のようだ。が、TKK製の可搬式はどうも取り締まりに向かない。「見せる取り締まりで速度抑止を」と、つまり“カカシ効果”を言いだしてもう何年もたつ。1台約1000万円のカカシとは贅沢だ。
ネットは今のところ「この道路に移動式を見た。気をつけろ」などとカカシ効果を支えている。けど、いつまで続くのか。JRCの可搬式、性能はどんなか、今後どう展開していくのか。正直、ハラハラドキドキする。
文=今井亮一
肩書きは交通ジャーナリスト。1980年代から交通違反・取り締まりを取材研究し続け、著書多数。2000年以降、情報公開条例・法を利用し大量の警察文書を入手し続けてきた。2003年から裁判傍聴にも熱中。2009年12月からメルマガ「今井亮一の裁判傍聴バカ一代(いちだい)」を好評発行中。
・整備状況(整備数) 2022年度中
・運用状況(撮影枚数) 2022年中
それぞれの一覧表を、情報公開法に定められた手続きを踏み、収入印紙で手数料を支払い、請求から開示まで1カ月ほどかけ、ようやくゲットした。
念のため言っておくと、可搬式はネットではよく「移動式」と呼ばれる。
検索サイトでのヒット数は、可搬式より「移動式」のほうが断然多い。オービスマップの業者さんが、マップ上の記号を「i」とし「移動式」と命名、それが瞬く間にネットに広まったようだ。テレビ・新聞は、ネットに迎合してか「移動式」と報じることがある。警察自身もWebサイトで「移動式」と称したりする。「泣く子とネットには勝てぬ」みたいな感じかな。
■全国の可搬式、117台から132台へ15台増加
【画像】都道府県別「可搬式オービス」のデータ
上記データの「合計」について、過去分をふり返ってみよう。「+」とあるのは前年比だ。
2019年度中 60台
2020年度中 99台 +39台
2021年度中 117台 +18台
2022年度中 132台 +15台
可搬式は従来の速度取り締まりと違って場所の制約がなく神出鬼没、とテレビ・新聞がいつも報じる。そんなに素晴らしいならもっと増えてよさそうなのに、どうも伸びが鈍い。18県が1台のみだ。
この一覧表で注目すべきは新潟だ。新潟は2021年度中、全国で唯一0台だった。
新潟が1台となり、可搬式は一応、全国制覇したことになる。
じつは新潟は、2020年度の予算で可搬式1台(金額からして東京航空計器製)を購入予定だった。が、なんと直前になって取り消した。警察の予算を取り消すなど前代未聞、「戦後初」と報じられた。そして2022年度、可搬式を1台購入した。なんとなんと、東京航空計器(TKK)ではなく、日本で初めて日本無線(JRC)の可搬式を購入したのである。統計の数字は普通に「1」だが、マニア的にはしびれる「1」なのだ。
■可搬式の取り締まり、SGGの千葉がまたトップ!
次に「撮影枚数」である。撮影枚数=取り締まり件数だと警察庁はいう。ちょっと首をひねりたくなるが、とりあえずそのとおりに聞いて話を進めよう。
これもまずは一覧表をご覧いただきたい。バラつきが非常に大きい。
新潟は0枚となっている。設置数は年度(4月~翌年3月末)、撮影枚数は歴年(1月~12月末)のデータだ。新潟の1台は、2022年度のうち2023年1月~3月末の納入で、その撮影枚数は2022年1月~12月末の集計には載っていない、のかもしれない。
撮影枚数の合計についても、過去のデータをふり返ってみよう。
2019年中 5069枚
2020年中 1万1568枚 +6499枚
2021年中 2万6508件 +1万4940枚
2022年中 3万1555件 +5047枚
都道府県別に見ると、2022年は24都道県が増加し、23府県が減少している。撮影枚数も増加数も全国トップは、前年と同じく千葉だ。5316枚から8273枚へ、2957枚も増えた。2022年の増加数の全国合計の、なんと6割近くを千葉が占める!
千葉の整備数は10台だ。多い。でもいちばん多いのは警視庁(東京)の11台。東京は2263枚から2861枚へ、598枚増えただけ。撮影枚数も増加数も、千葉とは比べものにならないほど少ない。
いったいどうなっているのか。じつは、東京の可搬式はすべてTKK製、千葉のはSensys Gatso Group(SGG)製なんだね。SGGはスウェーデンに本社を置く世界的企業だ。可搬式を10年ほどウォッチしてきた私にはこんな構図が見える。
・SGG製=高性能。
・TKK製=性能的に問題あり。しかし警察庁がゴリ押し。
2022年度末時点で可搬式は全国に132台。その8、9割ほどはTKK製のようだ。が、TKK製の可搬式はどうも取り締まりに向かない。「見せる取り締まりで速度抑止を」と、つまり“カカシ効果”を言いだしてもう何年もたつ。1台約1000万円のカカシとは贅沢だ。
どうするつもりなの、と見ていたら新潟に突然、JRCの可搬式が登場したのである。
ネットは今のところ「この道路に移動式を見た。気をつけろ」などとカカシ効果を支えている。けど、いつまで続くのか。JRCの可搬式、性能はどんなか、今後どう展開していくのか。正直、ハラハラドキドキする。
文=今井亮一
肩書きは交通ジャーナリスト。1980年代から交通違反・取り締まりを取材研究し続け、著書多数。2000年以降、情報公開条例・法を利用し大量の警察文書を入手し続けてきた。2003年から裁判傍聴にも熱中。2009年12月からメルマガ「今井亮一の裁判傍聴バカ一代(いちだい)」を好評発行中。
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