
昨年の東京オートサロンで「上質」「洗練」「五感に響く機能」の3つをブランドテーマに掲げたモデリスタ。今回のブースコンセプトは「新化」で、前述のブランドテーマを軸に新しい世界観をブース全体で表現している。モデリスタの新化に向けた具体的な取り組みを具現化したのが、ブース中央に据えられた2つのスタディモデルだ。

ステージ正面右側はモデリスタエンブリオ。エンブリオとは日本語で「胚(はい)」を意味し、多細胞生物の成長過程におけるごく初期の段階の物を指す、生命の原点のようなもの。名称には「今後のモデリスタに向けたスタートとなるモデル」「新たなモデリスタに生命が宿る」といった想いが込められている。

面や線が機能的に融合し、見る角度によってさまざまな表情を見せる造形は、デザインの力がいかに人の心に響き合い、震わせ、インスピレーションを与えることができるかを探求しながら、近未来からその先まで、モデリスタデザインが目指すべき世界観を模索するためにゼロベースから創り上げたもの。
プレスカンファレンスに登壇した、デザイナー/アーティストの篠原ともえさんはモデリスタエンブリオを見て・触れた感想を「どの角度から見てもひとつとして同じフォルムがなく、曲線的だけどすごくインパクトがあります」と語った。

ステージ左側にはモデリスタエンブリオから分化・進化した近未来のモデリスタデザインを、トヨタbZ4Xをベースに具現化した「モデリスタコンセプト・ゼロ」を展示。空気の流れまでデザインし、乗り心地における上質・洗練の向上を図るというものだ。

インテリアについては、発光手法の組み合わせによって室内空間の上質・洗練の向上にトライしている。

モデリスタコンセプト・ゼロの印象を篠原さんは「上質、洗練、五感に響く機能というテーマが、このような答えになるんだって感動しています。私はクルマのフォルムを見るときに、まずフロントをじっくり眺めるのですが、サイドからリヤにかけても空気の流れを感じさせるシルエットですね。『この空間でどんな体験ができるんだろう?』って想像を巡らせています」と評した。

「細部にわたって一体感、シームレス感、カタチ、線のひとつひとつにこだわり、美しさの裏側に空力などの機能を備えたデザインを目指していきたい」と語った、トヨタカスタマイジング&ディベロップメント代表取締役社長・西脇憲三氏。これから発売される、新化したモデリスタパーツに注目したい。
<文と写真=湯目由明>