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■ハイブリッド車を新規設定
レクサスはカーボンニュートラル社会の実現を目指すという目標のなか、LXはラインアップで唯一、電動車の設定がないというジレンマを抱えていた。全世界の過酷な環境下で使用されるLXの電動化は不可能と思えるほどの高いハードルであったという。開発にあたって、最初に固めたのは「電動車であっても、歴代LXが守り抜いてきた信頼性、耐久性、悪路走破性は絶対に犠牲にしない」という強い意志と決意だった。その結果、たどり着いたのは新規パラレルハイブリッドシステムの開発とGA-Fプラットフォームの改良だった。
LXの信頼性、耐久性、悪路走破性を支える駆動系、フルタイム4WD、トランスファーLoレンジ、トルクコンバーター付きATを電動化においても維持すべく、3.5LV6ツインターボエンジンと10速ATとの間にクラッチを有するモータージェネレーターを配置したパラレルハイブリッドシステムを採用した。状況に応じてエンジンのみ、モーターのみへの走行の切り替えをハイブリッド制御システムが最適にコントロールする。
また、従来のレクサスのパラレルハイブリッド車には装備されないオルタネーターとスターターを標準装備している点もポイント。万が一ハイブリッドシステムが停止した場合でもスターターでのエンジン始動が可能であり、オルタネーターで発電した電力を12V補機バッテリーへ供給することでエンジンのみでの退避走行を可能とするレクサス初のシステムである。退避走行中でもトランスファーLoレンジの使用やアクティブハイトコントロールによる車高調整、アクティブトラクションコントロールの作動が可能となっており、悪路走破にも寄与する。
応答性がいいモーターのトルク特性と大排気量ツインターボエンジンの組み合わせによって、低速時にはアクセル低開度からレスポンスのいいリニアな発進・加速を、アクセル踏み込み時や高速域では大トルクを生かした力強く伸びのある加速を実現。オフロードではトランスファーHiレンジにとどまらず、Loレンジでのモーター駆動をレクサス初採用。
GA-Fプラットフォームはモータージェネレーターの追加によって、重量が増加し、かつ全長が伸びたパワートレーンを搭載するために専用のクロスメンバーを新設、断面と板厚を最適化し薄型形状とすることで、エンジンモデル同等の最低地上高を確保した。パワートレーンの重量増に合わせ、リヤエンジンマウントの材質もより耐久性の高いものに変更している。12V補機バッテリーは搭載位置をエンジンルーム内からリヤのデッキ横に変更。専用の金属トレイと脱着式のバッテリーブレースを設定し、交換のしやすさとリヤクォーターまわりのボディ剛性の向上を両立させている。
そのほか、エンジン車同等の渡河性能700mmを確保、センターコンソール後部とデッキにはコンセントを配置してアクティビティや災害時の非常用電源としても活用できる。
走りについては、レクサスの他のモデルで実践しているラジエターサポートまわりの剛性向上を今回のLXに織り込んだ。ステアリング操作に対するリニアな反応を実現するとともに補強部材をパッチ形状とすることでホイールアーティキュレーションを維持。悪路走破性を犠牲にすることなく操舵応答性を向上させた。インストルメントパネルリンフォースメントについても、ステアリング支持剛性向上のためのブラケット追加や既存ブラケットの板厚変更を行い、ステアフィールと操縦安定性を向上させている。
フレームにボディをマウントするためのキャブマウントクッションについてもその構造を刷新、フレームとボディがこじる動きをする際の結合剛性を向上させることでフレーム車特有のブルブルとした低周波の振動をより一層低減した。
AVSも進化。
■一部改良車の概要
ガソリンモデルも含めた一部改良では、12.3インチ大型フル液晶メーターを採用し、ハイブリッド車にはレクサスオフロード4WD車初のエレクトロシフトマチックを採用。専用形状のシフトノブのデザインとした。また、前席(エグゼクティブは運転席のみ)には空気袋方式のリフレッシュシートを装着。全身2コース、部位別3コースの計5コースが選択可能で、強度も5段階に設定できる。置くだけ充電は急速充電に対応するとともに、従来型ではリヤセンターコンソールのみだったエグゼクティブは、フロントセンターコンソールにも設定を追加した。
先進安全装備については最新のレクサスセーフティシステム+にアップデート。運転状況に応じて適切な操作サポートを行うプロアクティブドライビングアシストやドライバーモニターとの連携によるドライバーの運転状況に応じた最適制御などを実施。高度運転支援技術「レクサスチームメイト」の機能であるアドバンストドライブ(渋滞時支援)を全車に採用し、ハイブリッド車には並列駐車時の支援を拡大したアドバンストパークを採用した。
ラインアップでは、アウトドアライフに寄り添うオーバートレイル+を設定。黒光輝塗装スピンドルグリルとマットグレー塗装アルミホイールをはじめ、ルーフレールやホイールアーチモール、ドアハンドルなどを黒・ダーク系色でコーディネートすることによって、過酷な環境にも耐えるプロフェッショナルツールを表現した。
ボディカラーは「ムーンデザート」をオーバートレイル+の設定色とし、内装では同グレード設定色として「モノリス」を用意。オーバートレイル+には全車標準装備のセンターデフロックに加えて、フロント・センター・リヤのディファレンシャルロックを設定。タイヤは悪路での路面追従性を向上させる扁平率の高い18インチ仕様とした。
■特別仕様車「HIDEKI MATSUYAMA エディション」
今回の発表と同時にレクサス所属の松山英樹選手の米ツアー通算10勝を記念した特別仕様車「HIDEKI MATSUYAMA エディション」を設定。LX700hをベースに、松山選手の米国での移動をサポートするLXと同じマンガンラスターのボディカラーを採用。インテリアは勝利を象徴し、新たな始まりを想起させるホワイトを基調に黄色のステッチを施し、10勝を決めた大会最終日のウェアと同色のカラーコーディネートとした。鍛造アルミホイールは特別仕様のブラック塗装を採用。松山英樹コレクション(25年春夏シーズン)に新たに加わった「米ツアー10勝記念 松山選手レプリカキャリーバッグ」を付帯特典としている。特別仕様車は10台限定で1700万円。2025年5月に発売を予定しており、商談申し込み(抽選)を3月6日(木)~3月20日(木)まで全国のレクサス店で受け付けるとのことである。
■ラインアップと価格
●標準設定グレード
LX700h エグゼクティブ…………2100万円
LX700h オーバートレイル+……1590万円
LX700h …………………1590万円
LX600 エグゼクティブ……………2000万円
LX600 オーバートレイル+………1490万円
LX600 ……………………1450万円
●特別仕様車
LX700h HIDEKI MATSUYAMA エディション……1700万円
〈文=ドライバーWeb編集部〉