日本中を笑いと涙で包んだ感動の映画『ALWAYS 三丁目の夕日』。日本アカデミー賞など名だたる映画賞を総ナメにし、続編も大ヒットしたこの作品のパロディ映画が存在することをご存知ですか? その名も『ALLDAYS 二丁目の朝日』


「新宿二丁目。いわずとしれたゲイの街……」という意味深なナレーションで始まるこの映画の舞台は、戦後間もない昭和30年代初頭の新宿二丁目。冒頭からセクシーな女性(たぶんニューハーフ)の艶かしいダンスシーンあり、ややアダルトな仕上がりに。当時のラブボテル(休憩200円、宿泊400円)の様式など、お父さん(おじいちゃん?)世代には懐かしいコネタも満載です。

本家の見所はVFX技術で東京の街をリアルに再現したところでしたが、こちらはCGは一切使用していません。モノクロ写真を劇中に挿入するなど、低予算映画ならではの工夫が泣かせます。それでも、芝居小屋の楽屋シーンでは蒲田にある老舗の「キャバレーミカド」で撮影するなどロケ地にはこだわりが(特典映像のメイキングで詳しい解説アリ)。

肝心のストーリーは、戦災孤児だった青年・真雄が戦時中に出会い、やさしくしてくれた“アイパッチの男”を探し求め、まだ赤線と呼ばれていた新宿2丁目をさまようなかで、自身がゲイであることに気づく……というもの。

主人公に何かと世話を焼く八百屋のオヤジ(実はゲイで、ヤクザの恋人とダイナマイト心中を図る)、連合赤軍を思わせる女性運動家など、濃いキャラのオンパレードのなか、極めつけはなんといっても“アイパッチの男”。クライマックスでピンクのアイパッチに真っ赤なワンピースという女装姿がシュール過ぎ!!

また、『ALWAYS 三丁目の夕日』で泣きのツボだった子役も、ここでもちゃんと登場。主人公が迷い込んだ売春宿に住む、孤独な少年との交流シーンにはちょっぴりホロッとさせられます。

そして映画は売春防止法によって赤線が撤廃され、入れ替わるようにゲイバーがひしめくゲイタウンに変貌していく、という形で締めくくられます。


お世辞にも傑作とは言い難い作品ですが、二丁目の黎明期を描いた貴重な1本として、ぜひ『三丁目の夕日』と比較しながら鑑賞してみてください。
(いなっち)

『ALLDAYS 二丁目の朝日』HP
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