日本人なら誰でも親しみを感じる超簡単料理、「たまごかけごはん」。レシピ集が発売されるなど、コネタでも何かと話題を集めている。

ところでこちら韓国にも、日本のたまごかけごはんと同じようなポジションの、でも微妙に異なるお手軽料理があるのをご存知だろうか。

それは「たまごごはん(ケランパプ)」あるいは「しょう油たまごごはん(カンジャンケランパプ)」と言われるもの。ごはん、卵、しょう油を使うところまでは一緒だが、韓国の場合、卵は生卵ではなく目玉焼きを使用する。
しょう油をかけたごはんの上に、目玉焼きを乗せ、完成。これをスプーンで、味が均一になるまでぐしゃぐしゃにかき混ぜていただく(見た目は気にしない)。私も韓国人に作ってもらって食べてみたのだが、味は日本のたまごかけごはんなのに、食感は初体験。
炊きたてごはんのほくほく感と、チャーハンの香ばしさが同時に楽しめるのだ。これは癖になりそう。
この韓国たまごごはん、日本のたまごかけごはんのように、「思い出の味」として韓国人の記憶に定着しており、貧乏学生の定番メニューでもある。アルマイトのお弁当箱にキムチと一緒につめれば、まさにレトロなお弁当スタイル。日本の日の丸弁当のような存在となる。

調査にあたり、たまごごはんのレシピを様々な韓国人に聞いてみたのだが、上記の作り方を基本として微妙に差が出るのが興味深かった。

卵の焼き方は、黄身を軽くつぶし両面からよく火を通すという人がいる一方で(上写真)、片面焼き・黄身は半熟にこだわる人もいた。卵に塩・コショウは基本的に不要だが、しても良いとのこと。
味付けはしょう油だけでなく、ごま油も少し入れるとおいしくなるという意見が多数。バターを入れるという豪勢な意見も。また、しょう油のかわりに、コチュジャンとごま油を入れてもおいしいというアイデアもあった。
お弁当に詰める場合、通常は目玉焼きをごはんの上に置くのだが、ごはんの下に敷くのも効果的だそう。
周囲の人に目玉焼きを奪われてしまうのを防ぐためだ。

このたまごごはんを、カフェごはんとしてアレンジするお店もある。ソウル市・弘益(ホンイク)大学前にあるアートカフェ「Siam(シャム)」では、「昔のしょう油たまごごはん」を提供。若者から年配の方まで幅広い人気を集めている。
こちらのメニューは、目玉焼きではなく生卵の卵黄を使用。しょう油の他、ごま油、砂糖、みずあめ、タマネギや唐辛子を刻んだものを混ぜた、甘辛いオリジナルソースをかけて、やはり思いっきりかき混ぜていただく。

「韓国では生卵は食べ慣れないので、卵黄だけを用いてアレンジしました。昔お母さんが作ってくれた味を思い出すと喜んでもらっています」とカフェ運営者のひとり、チェ・ジョンジュさんは話す。

もしあなたに韓国人の友達ができたら、お互いの国の「たまごかけごはん」「たまごごはん」をつくりあって、日韓お手軽ごはん交流をしてみてはいかがだろう。国際理解は、それぞれの共通点と差異を発見することから始まるのだ。
(清水2000)

「artcafe siam」HP*韓国語サイト