以前、コネタで紹介した映画の“予告編テーマ曲”。

オリジナル版の予告には、本編で使われていない楽曲が多いと紹介したのだが、日本で流す日本版予告編について、東宝東和株式会社宣伝部からこんなことをうかがった。


「アメリカ公開などから時間を置いて公開する場合が多い日本では、幸いなことに映画本編で使用していた曲もサントラが手に入れば予告音楽の候補にすることができます」

なるほど。しかし、日本版予告でも、本編で使われていない“予告編テーマ曲”って結構あるようにも思えるんだが……。

「まず、日本版の予告編を作る場合、当社では【オリジナル予告で使用していた曲】、【本編で使われていた曲】、【新たに私どもで選曲】という選択肢の中から、日本の観客向けに編集した予告に合うよう、よりふさわしい曲を検討することになります。なお、オリジナル版から音楽を変更する場合は、必ず変更した日本版の承認を、映画の製作者に取っています」と東宝東和(株)宣伝部。

なるほど。オリジナル予告で使われていた“予告編テーマ曲”をそのまま日本版にも使ったり、新たに選曲し直したりするのか。

例えば『グッドシェパード』の日本版予告の曲は、前半はオリジナル予告で使用していた曲。後半に流れる盛り上がりの曲は日本で選曲をしたという、オリジナル版に手を加えたというもの。

『マリー・アントワネット』の予告で使われた曲は、オリジナルと日本版予告、共に本編で使用していた曲だが、その選曲を変えたパターンだとか。

・オリジナル予告 → New Order の「Ceremony」
・日本版予告 → Gang Of Four「Natural's Not In It」 BOW WOW WOW「I Want Candy」 New Order「Age of Consent」
といった感じ。


このように、日本で流す日本版予告は、日本人の観客がどのような印象を受けるかを考え、色々と試行錯誤をして作られているのである。

「例えば、だいぶ前の話なのですが、『クリフハンガー』のオリジナル予告はモーツアルトの『レクイエム』とワグナーの『ワルキューレの騎行』を使用した2つのバージョンがありました。
日本版予告はモーツアルトの『レクイエム』を使用して製作しました。『ワルキューレの騎行』は『地獄の黙示録』のイメージが強すぎると判断したためです」と東宝東和(株)宣伝部(※『地獄の黙示録』とはフランシス・フォード・コッポラ監督作の戦争映画。「ワルキューレの騎行」が流れる有名なシーンがある)。

ということで、日本人の観客がどのような印象を受けるかを考え、必要とあらば新たな選曲などをしているという日本版予告編。映画に使われている曲が手元にあるからといって、それを使えばいいという単純なものでもないようでした。
(ドープたつま/studio woofoo)
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