日本にいる時は、韓国焼酎といえば緑のボトルに黄色のラベルの「JINRO(ジンロ)」だと思っていたが、本場韓国では不思議なことに、日本で見慣れたこのビジュアルのお酒を見たことがない。
確かに、「眞露」(JINRO=韓国語の発音では「チルロ」と聞こえる)という大手焼酎メーカーはある。
同社から発表されている「チャミスル」は、どんな飲食店にも置いてある韓国を代表する焼酎だ。「チャミスル」は直訳すると「真の露」となり、日本の「JINRO」とはただ名前とラベルが違うだけだと思っていた。
だが実は、日本でおなじみの「JINRO」は、日本人の味覚に合わせた、日本専用の韓国焼酎なのである。
「韓国ではストレートで飲むため、甘い味の焼酎が好まれていますが、『JINRO』は日本人の口に合うよう、あっさりした味となっています。ロックはもちろん、カクテルにしてもおいしいですよ」と、発売元の眞露(じんろ)ジャパン株式会社は答える。
西洋人が登場するスタイリッシュなJINROのCMに、こちらがワールドスタンダードだと勝手に思ってしまったのが、どうやら間違いのようだった。
眞露ジャパン(株)では「JINRO」の他にも、韓国で売られている焼酎とほぼ同じ内容の「眞露チャミスル」「眞露チャミスルfresh」などを発売している。ほぼ同じ、としたのは、酒税法の関係で内容物が若干変わるため(「日本仕様」と注意書きがある)。韓国と同じものを求めるなら、これらがおすすめということだ。
いや、韓国と同じと書いたが、個人的にまだ納得いかない部分がある。それは値段である。韓国で焼酎といえば、とにかく財布に優しいお酒。本場のチャミスルは、スーパー・コンビニに行けば360mlで1000ウォン前後(円高の今なら何と約70円!)、飲食店でも3000ウォンぐらいで売られている。ところが日本の「眞露チャミスル」は、360mlで希望小売価格401円(税別)。飲食店ならもっと高いだろう。この差は一体何なのか。
「日本は酒税法の関係で、このような価格になってしまいます。また、『JINRO』を含めたほとんどの商品が韓国で作られているので、関税もかかります」とのこと。なるほどと納得した。
日本で人気なのは、1979年から発売されるロングセラーということもあり、やはり「JINRO」。本場の味「眞露チャミスル」シリーズも、韓流ブーム以降、人気を集めているという。
眞露ジャパンでは、最新作として乙類焼酎をブレンドした「プレミアムジンロ乙」を発表しており、今後も日本人の舌に合う韓国焼酎を発表していく方針とのことだ。
日本食にはやはり、日本人向けに研究された「JINRO」が合いそうだが、騒がしい韓国の焼き肉屋を想像したら、もうもうとした煙の臭いとともに、「チャミスル」の甘さが思い出されてきた。日本の方も酒屋で見かけたら、本場の味をぜひ一度おためしあれ。
(清水2000)