先日、アメリカにいる知り合いが日本に遊びにきた。その知り合いには車が大好きな3歳の男の子がいて、日本のミニカーを沢山買ってもらってご満悦。
親睦を深めようと、「どの車が一番好きなん?」と聞いてみたところ、返ってきた答えは意外なものだった。彼が最も好きな車は、消防車でもなく、トラックでもなく、「ゴミ収集車」だったのだ。

ゴミ収集車って、車の後ろがパカッと開いて、ゴミ袋をつぶしながら中に入れてしまう、あれですよね。確かになんかかっこいいけど、あれならタンクローリーの方がかっこいいのでは? そんな風に疑問に思っていると、男の子のお母さんが一言、「いや、アメリカのゴミ収集車は、すごいんですよ」。えっ、何がすごいんですか? ということで、調べてみたら、ほんとにすごかった。

アメリカのゴミ収集車のすごさ、それは、「ロボットアーム」が付いていることだ。
いや、ほんとなんです。ロボットアームでゴミ箱を持ち上げ、コンテナのゴミ投入口の真上でゴミ箱をひっくり返し、ユサユサ振ってゴミをコンテナに入れるのである。あなたの右手がロボットアームだとしたら、コップを右手でつかんで、それを頭の上にもってきて、ひっくり返す、そんな動きに似ている。極めて単純、それでいて豪快な、いかにもアメリカ的なメカニズムなのだ。

このトラック、通称「アームロール型」というらしいのだが、何がすぐれているかというと、人手がいらないこと。ふつうのゴミ収集車だと、運転手さんの他にゴミ袋をコンテナの中に投げ入れる作業員さんが1、2名ほど必要になるが、アームロール型だと運転手さん1人だけですんでしまう。


反対に、アームロール型の欠点は、ゴミ箱やその置き方に決まりが必要なこと。アームでの収集作業のためには専用のゴミ箱が必要で、しかも指定された向きに置かれていなければならない。そうしないと、アームがうまくゴミ箱をつかむことができないからだ。知り合い夫婦いわく、ルールを守らないと、ゴミは容赦なく置き去りにされることも日常茶飯事だとか。

ちなみに、アメリカにも日本と同じ形式のゴミ収集車もあり、どのような形式の車を導入しているかは州によって異なる。知り合い夫婦はロサンゼルス在住なので、カリフォルニア州ではアームロール型が一般的のようだ。
アメリカ以外でも、フィンランドなどの一部ヨーロッパでアームロール型のトラックが導入されている。一度でいいから、生ロボットアームをこの目で見てみたいものだ。
(珍満軒/studio woofoo)