「PISA」(Programme for International Student Assessment)をご存知だろうか。OECD加盟国の15歳を対象に行われる世界的な学力テストである。テスト科目は「読解力」「数学的リテラシー」「科学的リテラシー」の3分野で、毎年、どれか1つが重点的に調査される。2006年のテストでは科学的リテラシーが中心に調査され、日本は参加した57カ国のうち、香港や台湾についで5位だった。決して低い順位というわけでもないが、2000年は1位、2003年は3位だったので、順位の低下が大きな話題になった。
PISAは3年おきに行われる。ということは、2009年はPISA開催年なのだ。文部科学省の担当者いわく、「2006年の結果を受けて、理数教育や言語教育などに力を入れてきました」とのこと。
ところで、このPISAではどんな問題が出されているか、気になりますよね。PISAのテストは再利用されるため、通常は非公開なのだが、公開されている一部の問題を紹介してみる。みなさんも、さあチャレンジ!
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2500年以上前にアテネで作られた女人像柱は、大理石(炭酸カルシウム)からできています。
<問1>
酢と酸性雨はほぼ同じ酸性度を持っています。大理石のかけらを酢に入れると、気泡が発生します。そのまま一晩つけて、翌日取り出し、乾かしました。乾いた大理石のかけらの質量はどうなっているでしょうか(酢に一晩中つける前の大理石のかけらの質量は、2.0グラム)。
A: 2.0グラムより小さい
B: ちょうど2.0グラム
C: 2.0グラムから2.4グラムの間
D: 2.4グラムより大きい
<問2>
この実験を行った生徒たちは、大理石のかけらを、酢だけでなく蒸留水にも一晩中つけこみました。実験にこの手順を含めるのはなぜですか。説明してください。
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さて、皆さんはこの問題をどう感じただろうか? ちなみに、この問題は比較的易しい方で、もっと難しい問題があるのだそうだ。答えは文末に記載する。
PISAのポイントは、単に知識の量を問われているのではないということ。
日本の若者よ、盗んだバイクで走り出すのもいいけど、PISAでも健闘を祈ります!
(珍満軒/studio woofoo)
問1の答え:A。大理石のかけらを酢に入れると、気体が発生して質量が減少する。
問2の答え:反応を起こしているのが酸(酢)であることを明らかにするため。