天気予報などで「○月×旬並みの気温」っていう表現を聞くことがある。例えば2月に「明日は4月上旬並みの最高気温です」って言葉を聞くときは、明日がちょっと暖かいことを伝えてる。


でもこれ、よく考えてみると、別の表現だってできる。
平年(1971年~2000年の平均)の東京で、4月上旬の最高気温は16.4度。11月中旬の最高気温も、同じくらいの16.7度。だからさっきのアナウンスは「明日は11月中旬並みの最高気温です」とも言えちゃう。でも、そんな例え方を聞くことはない。

そんなときのアナウンスに、何か法則みたいなものはあるんだろうか。
ヘリクツなうえに細かい疑問で恐縮しつつ、気象庁に話を伺った。

「まず大前提として、日付が近い方ということが挙げられます。そして、例える時期がどちらも同じ近さならば、後ろの日付で記述しています。例えば8月下旬の最高気温が上がらず約25度のとき、『6月上旬並み』とアナウンスするのではなく、『9月下旬並み』とアナウンスしています」

この法則は感覚にも合っていて、夏に涼しければ秋の日付で、冬に暖かければ春の日付で例えることになる。そして法則は、もうひとつある。

「年をまたがないことです。
つまり、1月上旬に暖かさを表現するとき、日付が近いからといって『11月下旬並み』とはアナウンスせず、『3月下旬並み』とアナウンスします。先ほどのこともそうですが、天気予報を聞かれる方が、感覚として分かりやすい表現を選択しているんですね」

ちなみに2月中旬なのに「2月下旬並みの最高気温」なんて聞いたことがない。
どのくらい時期の差があったときに、アナウンスされるんだろう?

「マスコミなどでは、2月中旬に2月下旬並みなどと言われても有用な情報ではないので発表していませんが、気象庁では、該当する旬も毎日必ず一緒にデータのひとつとして発表しています。気温の数値ではピンとこない方も多く“いつと同じ気温なのか”と聞かれることが多いですからね」

今日の知識を使うことはたぶんないと思うけど、天気予報の言葉にいちいち「4月上旬並みって言ってるけど、これって11月中旬並みとも言えなくない?」とか、面倒臭いヘリクツを言う人がもしいたら、あしらうためにでも使ってください。
(イチカワ)