田舎のおばあちゃんちにある階段の幅は、たいがいせまい(勝手なイメージ)。あれって、かなり危ないのだが、何かの法律にひっかかったりしないのだろうか? おばあちゃんのためにも、ここはひとつ、調べておいた方がよさそうだ。


ネットで色々調べたところ、建築基準法に階段の規定があることがわかった。それによると、大まかにいって、階段の高さ(蹴上げという)は230 mmより低く、奥行き(踏み面という)は150 mmよりも大きくしなければならない、と決められているそうだ。

でもちょっと待てよ。実際にこの最低基準で階段を設計すると、かなり急な階段になってしまう。勾配を計算すると約58度。急な階段として有名な、東京都港区にある愛宕神社の「出世の石段」の勾配が約40度といわれているから、これはものすごく急である。こんな階段、許していいのか! 知り合いの建築家に文句を言ってみたところ、こんな意見をもらった。

「建築基準法は、あくまでも建築物の構造や用途に関する『最低の基準』を定めたものにすぎません。だから、建築基準法にのっとっているからといって、その建築物が安全な設計になっているとは限らないんです」

建築家氏によると、登りやすい階段という意味で便宜上使用している計算式が存在しており、実際の階段はそのような別の基準にしたがって設計されていることが多いらしい、それは例えばこんな式である。

(階段の高さ×2)+奥行き = 550~650 mm

よく建材メーカーにある階段の場合、高さが210 mm、奥行きが210 mmという寸法であり、上の式にあてはめると、630 mmになる。もう少しゆるやかな階段だと、高さが190 mm、奥行きが240 mmというのもある。この場合の計算式の値は、620 mm。


昔の日本家屋の場合、柱と柱の距離が一間、約1.8メートルであり、この間に階段を作ることが多かったため、急な階段にならざるをえなかった、というのが実情らしい。

ちなみに、建築基準法の適用範囲は、100平方メートル以上の建築物。これよりも小さい建築物であれば、建築士の資格を持っていなくても建物を設計できてしまう。もし、あなたのおばあちゃんちが100平方メートル以下だったら、注意が必要だ。
(珍満軒/studio woofoo)
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