「あっ、落としちゃった(汗)」
デジカメを落とした経験はありますか。コンパクトデジカメを使っていて気になるのは、とび出すズームレンズのこと。
ボディからとび出ているだけに落としたら真っ先に壊れるのではないかと心配になる。そこで、レンズの強度について、デジカメメーカーに聞いてみた。

先日、階段を踏み外してデジカメをコンクリートの床に落としてしまった。急いで拾ってみるとモニターに「レンズエラーです!」というメッセージが。ズームレンズが傾いてしまっていることに気づいたので、指でつまんでまっすぐにすると、直った。
それ以後、レンズが出てくるたび「カチッ」という違和感のある音がするようになったが、今のところ使用上は何の不都合もない。

以来、とび出すズームレンズは危ういのではないかと心配になっている。

一方、ズームレンズでも、とび出さないものもある。とび出すズームレンズを沈胴式、出ないのを屈曲式という。屈曲式のほうが強度がありそうに見えるのだが、果たしてどうなのか。
「社内の強度規格は同じなので、変わらないはずです。ただ、沈胴式はレンズがとび出した使用状態では、レンズ先端部を不用意にぶつけたりしやすく、壊れやすく思えるのかもしれません。
(中略)究極の強度を考えれば、レンズがボディシェルに包まれている屈曲式のほうが、強度を増すには有利と考えられます」(ニコン)

やはり、「屈曲式のほうが強い」というニュアンス。以前「工事現場用デジカメってどんだけ強い?」で取り上げた「G600」(リコー製)という頑丈が特徴のデジカメでも屈曲式が採用されていた。では、どうして多くのデジカメで沈胴式ばかり採用するのか。

「屈曲式レンズは光路を折り曲げるプリズムを配置しなければならないし、レンズ全長を固定するなど光学設計的に制約が多い。一方、沈胴式レンズはレンズの大きさや動きに制約が少なく、高倍率ズームや大口径ズームなどのハイスペックなレンズ設計でアドバンテージがあります」(ニコン)
カシオ計算機でも、「沈胴式は光学倍率を高めやすい条件を持っています。また、メリットというわけではありませんが、沈胴式レンズは比較的口径の大きなレンズを中央に配置しやすいため、よりカメラらしいデザインになります」との説明。


なるほど、沈胴式のほうが高倍率で高性能なズームレンズをつくりやすいと。
ということは、沈胴式の耐衝撃性を上げるしかない。
「使用時(出ている状態)での横方向からの荷重・衝撃への耐性を高める工夫をしています」(カシオ)
「落下強度のシミュレーション結果に基づいて、材料の剛性の確認や強度を増すための機構の強度アップなどを行っています」(ニコン)

各社とも、強度を高めるために試行錯誤しているようだ。ユーザーの一人としては、衝撃を感知した瞬間にレンズが自動的に格納されるというような機能が実現できないかと思っている。カメラメーカーさん、ご検討ください!
(羽石竜示)