豆腐の「1丁」の大きさは、地域や種類によってかなりの違いがある。
例えば昔ながらの豆腐屋では、東京都心で1丁300~350グラム、沖縄で1丁1キログラムってことが多いという。
また、最近のスーパーでは、個食用に作られた1丁数十グラムの豆腐が充実してる。

50グラムだろうが、1キロだろうが、ひとかたまりなら1丁って呼ばれてるっぽい豆腐。実際は1丁の大きさに基準ってないんだろうか? 東京都豆腐商工組合に話を伺った。
「大きさに決まりはありません。それぞれの店やメーカーの判断で、1丁という呼び方をしています」

やっぱ大きさは、店が自由に設定できるんだ。じゃあ例えばだけど、5キロや10キロの巨大豆腐を、これが1丁ですって売ることも可能?
「まあそうですね……特に制約はありません」

そしたら逆に小さな5グラムや10グラムの豆腐を作っても、1丁って言えちゃう?
「特に制約はないです」

まさか、そんなにも1丁が自由だったとは。豆腐屋の主人やメーカーの担当者が「巨大豆腐や超ミニ豆腐で勝負したい」って思えば、誰かが止めない限り、1丁の豆腐として売れちゃうらしい。

あと最近よく見る、寄せ豆腐とかざる豆腐も「1丁」って言えるの?
「どうなんでしょうね。イメージとして、少し違うかもしれません。どちらかというと1個というか……特に決まりはないですが」

へぇ~、そこだけは違うんだ。直方体のかたまりじゃないと、1丁とは呼びづらいみたいだ。

ちなみに、町の豆腐屋では「丁」で数えることが多いけど、スーパーなど小売店では「パック」で数えてることが多い。
また日本豆腐協会によると、メーカーでは「グラム」で言われることが多いという。
これは、同じメーカーでも、大きさの違う商品をいくつか出してることが理由のひとつ。豆腐屋では、店ごとに大きさは違っても、同じ店の豆腐なら基本的に1丁の大きさは同じ。でもスーパーやメーカーでは、大きさが違う何種類かの豆腐を出してる。だから混乱がないよう「グラム」で表現してるみたいだ。

最後に、もうひとつだけ疑問が。例えば買ってきた1丁400グラムの豆腐を半分に切ったら、200グラムの豆腐が2丁になったって言えない?
「丁というのは販売段階の話なので、1丁のものは1丁で変わらないと思います」(東京都豆腐商工組合)

お母さんが知らないところで切って「2丁ね」って言ってもダメ?
「言ってもいいですが……販売段階で1丁なので、半分にすれば半丁かと思います」
そりゃ当たり前か。「ポケットを叩いてもビスケットは増えずに割れるだけだ」って、子どものころ友達が熱弁してたのを思い出した。

大きさに決まりはなかった「1丁」って単位。
買うときは、さまざまな大きさの「1丁」の中から、自分に合った、丁度いい大きさのものを選んでください。
(イチカワ)
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