汗ばむ季節になってきた。道を歩いていると、ついつい日陰を探しながら歩いてしまう。


この日陰があるのは、街路樹のおかげである。街路樹は、こんなふうに木陰を提供する以外にも、車の衝突をガードしたり、アスファルトからの反射熱を吸収したりと、様々な役割を担ってくれている。しかし、そのわりには、座布団一枚分くらいの土しか与えられておらず、その待遇は必ずしも良くない。こんなわずかな土しかないのに、街路樹が枯れないのはなぜなのだろうか?

市役所の担当者に問い合わせてみたところ、「乾燥や排気ガスなどの悪環境に強い種が使われていることもありますが、定期的なメンテナンスや地域住民の方々のご協力のおかげでもあります」とのこと。

例えば、地方自治体は定期的に街路樹の剪定(葉や枝を伐採すること)を行っている。これには、信号や看板を覆い隠す葉を取り除くという目的もあるが、限られた栄養分を街路樹同士で取り合って枯れてしまわないよう、成長を制限するためでもある。
また、日照や通風を確保して街路樹の生育をサポートするためでもあるのだとか。

また、主要な通りの街路樹には街路樹愛護団体があり、市民ボランティアが除草や肥料まきなどを行っている。このような支援のもとで、街路樹は枯れずに育つことができる。

しかし、そうはいっても、やはり街路樹が育つ環境は厳しい。土は少ないし、排気ガスも多い。幕張地域にある市民団体の調査によると、地域内に植えられた890本の街路樹のうち、457本が枯死、もしくは回復の見込みがない状態であったのだそうだ。


これ以外にも、行き過ぎた剪定で十分な枝葉がなくなったり、根元がコンクリートで固められ、水や栄養が十分に行き届かなかったりなど、かなりの逆境の中、街路樹は生きているのだ。

ちなみに、街路樹は手入れの簡便さから、基本的には実のならない木が使われているが、一部、柿(渋柿)やカリンなど、実のなる木が使われている。この場合、「頭上注意」の注意書きがあるなど、頭上に落ちて来ないよう、配慮されているらしい。よじ上って実を取ったりせず、あたたかく街路樹を見守ってあげてほしい。
(珍満軒/studio woofoo)